ジャパンディスプレイ(JDI)は総額1000億円超にのぼる新たな資金調達の枠組みを固めた。独立系投資ファンドのいちごアセットグループから800億―900億円を調達するほか、米アップルへ白山工場(石川県白山市)の一部設備を売却する方向。2019年4月から曲折のあった金融支援交渉は峠を越え、ようやく20年3月末までの債務超過解消へめどが立った格好だ。

JDIは12日、いちごトラストとの間で同社から最大900億円を調達することで基本合意したと発表した。具体的な調達方法は今後詰める。20年1月中に最終契約を結び、同2―3月に払い込みを完了する予定。JDIの菊岡稔社長は12日の記者会見で「資本の充実を図ると同時に、希薄化を通じた既存株主への影響を最小化するかを考えて、資産の売却も行う」と枠組みの狙いを説明した。

取引先である台湾電子機器製造受託サービス(EMS)大手の緯創資通(ウィストロン)もJDIに対して5000万ドル(約54億円)を出資する意向だ。資本参加を通じて、車載・モバイル向け液晶パネルの組み立て分野などで協業をさらに深める狙いがある。

一方、JDIはアップルに白山工場の一部設備を2億ドル(約217億円)で売却する方向だ。現在操業休止中の同工場はもともと“アップル専用工場”で、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けの液晶パネルを生産していた。アップルが株式を保有したくない意向を示しており、設備買い取りによる支援に落ち着いたようだ。菊岡社長は「キャッシュが入る形ではなく、(アップルからの)前受け金を相殺する選択肢もある」と語った。19年4月に発表した既存の枠組み「Suwaコンソーシアム」で唯一残る香港ファンドのオアシス・マネジメントとは出資に向けた交渉を継続する。

JDIは財務当局などの手続きを進め、20年2月に臨時株主総会を開催する予定。いちごトラストからの資金調達を済ませるとともに、現在筆頭株主の政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)による債務の株式化などのリファイナンスも受ける計画。JDIは19年9月末時点で1016億円の債務超過に陥っており、早期の資本増強が急務となっていた。

既存の枠組みでは台湾タッチパネル大手や中国ファンド大手などが金融支援交渉から相次ぎ離脱し、JDIの資金調達は一時期混迷を極めていた。いちごトラスト中心の新たな枠組みが固まり、JDIは上場を維持できる公算が大きくなった。