大林組はセメント系材料を使い3Dプリンターで製造していた巨大なシェル型ベンチを完成した。幅7×奥行き5×高さ2・5メートルと、3Dプリンターで製造した構造物では国内最大級で、今後の実用化に弾みが付く。試験体のため今月から曝露(ばくろ)試験を始め、耐久性を2年かけて評価する。2020年以降、課題解決を含む研究開発と併せて、実用的な建物をつくるプロジェクトの展開を検討する。

セメント系材料を構造物に使うには引っ張り力の負担が課題。そこで大林組は3Dプリンター用特殊モルタルで外形を製造した構造物の内部に、引っ張り強度が高い自社開発の超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」を流し込む複合構造を開発した。これを実証するためベンチ製造に着手し、8月に技術研究所(東京都清瀬市)内の敷地で12ピースのうち3ピース分の大型部材を公開していた。

3Dプリンターはモルタルの吐出と停止を行い、一筆書きでない積層経路を可能にした。アーム長が約3メートルの大型ロボットアームを導入し、12ピースの部材を積層。1ピース(1層の厚さ5ミリメートル×100―120層)を平均5―6時間で製造した。その後、4ピース分と5ピース分の大型部材二つを製造し、クレーンで据え付けた。

曝露試験は構造のひび割れ、先端部や中央位置のたわみを計測するほか、目視で塗膜の膨れ、割れ、汚れを確認したり、測色計で光沢を調べたりする。

開発リーダーの金子智弥技術研究所生産技術研究部主席技師は、課題に「材料供給の自動化、積層痕をどう生かすか」を挙げる。これら課題を解決する研究開発とともに、「小規模でも実用的な建物に使っていく」(金子主席技師)といい、本社の意匠・構造設計と連携して実用化に向けて動きだす構え。

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