ビール大手4社が16日に発表した2019年(1―12月)のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)販売動向によると、合計販売数量は前年比1・4%減少で市場は15年連続マイナス。ビールが同4・1%減、発泡酒が同7・0%減だった一方、第三のビールは4・1%増だった。4社での販売数量シェアは首位アサヒビール36・9%、2位キリンビール35・2%となり両社の差は1・7ポイントまで接近した。

19年は令和への改元やラグビーワールドカップなどがプラスだった一方、7月の長雨や相次いだ台風被害、10月の消費増税が下押し要因。異常気象によるマイナスを、第三のビールの伸びでとどめた感がある。第三のビールは各社がビールの味わいに近い商品を投入・拡販。これに消費増税による節約志向の高まりで需要増となった。ビール類に占める構成比は2・2ポイント増え40・4%に上昇した。

アサヒはビールの同5%減が響き、全体で同3・6%減。キリンは第三のビールが好調でビールの同5%減をカバーし同0・3%増だった。サントリービールは第三のビールが同3・1%増で全体で同1%増。サッポロビールは唯一ビールで同0・5%増だが、第三のビールが減少しトータルで同2・7%減。

また12月単月の販売は4社合計で前年同月比約3%減で3カ月連続のマイナス。消費増税の影響が残っている面があり、地合いは強くないようだ。20年1月分からのビール類販売動向はアサヒが発表方法を販売数量から販売金額ベースに変更するため、4社での単純比較ができなくなる。

日刊工業新聞1月17日

アサヒ、スーパードライ強化

アサヒビールは8日、2020年のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の売上収益で前年並みの6660億円を目指すと発表した。事業方針を「ビールに特化し、お客様にとって特別な価値や体験を創造する」とし、主力の「スーパードライ」を強化。同ブランドの販売数量で前年比1・4%増の8470万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指す。

スーパードライでは氷点下の温度帯で提供する「エクストラコールド」の体験機会を拡大する。家庭で氷点下のスーパードライを楽しめる専用容器「同タンブラー」の提供キャンペーンを実施。イベントなどで缶容器を急冷できる専用機器「アサヒスーパードライ エクストラコールド急冷機」を展開する。

4月からは東京、名古屋、大阪で「スーパードライ」工場コンセプトショップを期間限定で開設。コンセプトカーも展開する。仮想現実(VR)活用の工場見学疑似体験や工場直送のスーパードライを提供する。

キリン、主力ブランドとクラフトビール

キリンビールは8日、2020年のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)販売数量で前年比0・9%増の1億3670万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指すと発表した。達成すれば3年連続前年比プラス。10月のビール類酒税の一本化への改正などを踏まえ、主力ブランドへの集中投資とクラフトビールへの注力を柱とする。

主力ブランドではビール「一番搾り」と第三のビール「本麒麟」を重点に拡充。一番搾りは缶商品を同9・5%増の1500万ケースに引き上げ、同ブランドで前年比3・4%増の3010万ケースに設定した。

19年に同6割増の1510万ケースを販売した本麒麟は20年に同25・8%増の1900万ケースを目指す。今月中旬にリニューアルし、原料大麦の増量や、仕込み過程に新技術を採用しコクを高める。

クラフトビール事業では独自の取り組み「タップ・マルシェ」の新規導入を6000店拡大し、約1万9000店に広げる計画。

新業態「クラフトマルシェ」でのスマホ使用のイメージ

サントリー、金麦同時リニューアル

サントリービールは9日、2020年のビール類(ビール、第三のビール)の販売数量で前年比1%増の6400万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指すと発表した。中核の第三のビール「金麦」ブランドを3商品同時リニューアルし、同1%増の3870万ケースに引き上げる。ビール「ザ・プレミアム・モルツ」は刷新を実施し、同1%増の1735万ケースに拡充する。

金麦をPRする西田社長

「金麦」「同〈糖質75%オフ〉」「同〈ゴールドラガー〉」を今月中旬からリニューアル。「贅沢麦芽」を新たに使用し麦芽由来のうまみを高めた。また季節ごとに味わいを整える“四季の金麦”を展開する。第三のビール全体で同1%増の4370万ケースに設定した。

ザ・プレミアム・モルツと「同〈香る〉エール」の刷新では、ビール中の高分子たんぱくの濃度を高める「神泡リッチ製法」を開発し、おいしさと泡品質を高めた。ビールカテゴリーでは同1%減の2030万ケースを計画する。

サッポロはビール多様化

サッポロビールは9日、2020年のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)販売数量を前年比2・4%増の4450万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目指すと発表した。ビール類酒税一本化が段階的に10月から始まることを踏まえ、減税になるビールカテゴリーで多様化ポートフォリオを確立する。第三のビールは「麦とホップ」と2月発売の「GOLD STAR」でニーズを取り込む。

ゴールドスターをPRする高島英也社長

ビールでは「サッポロ生ビール黒ラベル」の業務用でビールサーバーに泡の再生力や泡持ちを高める「パーフェクトチェンジャー」の展開を強化。「サッポロ クラシック」「サッポロラガービール」で市場拡大の余地があるエリアで取り組む。3月からはグループの米アンカーのクラフトビール3商品の国内販売を始める。

黒ラベルで同1・4%増の1690万ケースに引き上げ、ビールカテゴリーで同0・8%増の3030万ケースに設定。第三のビールはGOLD STARの上乗せで同11・4%増の1260万ケースを目指す。

日刊工業新聞2020年1月9日/10日