地盤の液状化防ぐ

傾いた建物、割れた地面、飛び出たマンホール―。強い地震によって起こる地盤の液状化現象。東日本大震災でも、その被害は千葉県など広範囲に及んだ。巨大地震への備えとして、対策の重要性が叫ばれている。そうした中、注目されているのが愛知県陶器瓦工業組合(愛知県高浜市、野口安広理事長、0566・52・1200)が生産する土木資材「シャモット」だ。

【3つの特性】

愛知県高浜市は「三州瓦」で知られる、瓦の一大産地。愛知県陶器瓦工業組合のシャモット工場(同高浜市)には毎日のようにシャモットの原料となる規格外瓦が運ばれてくる。

規格外瓦は瓦の生産途中でヒビなどが入り製品としての品質を満たさなくなったもの。2019年は約6万トンの規格外瓦が同工場に集まった。うち7割は瓦用原料粘土として再生される。残りの3割をシャモットの原料として活用する。

シャモットは、その規格外瓦を粉砕し、粒度をそろえた粉状・粒状の土木資材。1粒当たりの大きさは最大20ミリメートル。大きな特性は「軽量性」「透水性」「摩擦性」の三つだ。これらを生かしてグラウンドの排水材や配水管を取り囲む埋戻材、裏込材などに使われている。透水性と摩擦性は地盤の液状化防止にも効果を発揮することが分かっている。

液状化は水を多く含んだ埋め立て地や、ゆるく砂が蓄積した地盤の弱い場所で、地震などの大きな刺激があった場合に発生する現象。その多くが埋戻材に砂を使用している場所で起きている。砂地盤は粒子が丸く、震動で粒子と粒子の隙間が詰まることで水が浮き上がり液状化を引き起こすからだ。

シャモットを埋戻材として使用すると、摩擦性が高く、安息角が大きいため形崩れしにくい。また高い透水性により水をため込むことなく排水する。これらにより弱い地盤でも液状化が起こりにくくなる。名古屋工業大学で行った振動実験でも液状化防止効果が認められた。こうした機能が評価され、防災という観点で湾岸工事などに使われる量が少しずつ増えているという。

愛知県陶器瓦工業組合の「シャモット」工場

【廃棄の受け皿に】

07年に再生路床材、19年に再生瓦材として、愛知県のリサイクル資材評価制度「あいくる材」にも認定されたシャモット。23年ごろから始まるとされる、瓦屋根の大量ふき替えで発生する廃棄瓦の受け皿としても期待されている。

瓦の寿命は50―60年と言われる。ピークだった1973―95年の国内の年間平均生産量は16億枚、同480万トン。2023年ごろからは「その分の瓦が大量に廃棄される」(名古屋工大の森河由紀弘助教)ことになる。

現在、同組合が生産するシャモットの原料は、出所が明らかな“新品”のみ。しかし今後は、ふき替えで廃棄される瓦の再利用先として有力候補に挙がっている。そのため同組合は「中古瓦でも生産可能な体制の確立が急務」(野村道生係長)となっている。森河助教も「シャモットはさまざまな効果が期待できる資材。中古瓦問題からも数多くの場所で使ってほしい」と期待する。(名古屋・浜田ひかる)