新型コロナウイルス禍で「家飲み」市場が堅調だ。新ジャンル(第三のビール)や「ストロング系」などアルコール度数7%以上のRTD(レディー・トゥー・ドリンク)が消費者の間で人気だ。外食の自粛で業務用ビール市場が打撃を受け、市場全体の落ち込みが避けられない中、「巣ごもり消費」の需要をどれだけ取り込めるかが注視される。

新型コロナショックが直撃したのが、業務用の比率が高いビール類市場だ。業界筋によると3月単月のビール類実績は樽、瓶といった業務用が2桁減ともいわれる。新ジャンルの中には前年比2桁の伸びを示す商品もあるが、業務用、家庭用の合計では1割超の減少と見られており、苦しい局面が続く。

すでに、酒類関連企業の業績に新型コロナは影を落としている。酒類販売のカクヤスの3月の月次売上高は、前年同月比18・2%減。新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食店など業務用取引先向けの売上高は同28・3%減と落ち込む。一方で、外出の自粛も手伝い、家庭向けの販売は7・8%増加している。

「家飲み」を下支えするのはRTD市場だ。「若者のビール離れ」「一缶で気軽に酔える」を追い風に、2019年は出荷量が12年連続の過去最高を更新し、4年連続の2桁増を実現した。RTDはビール類と異なり、家庭用が大半のためコロナショックの影響も限定的。酒類メーカーにしてみれば、「巣ごもり」需要を取り込めば業務用の落ち込みに伴う酒類市場全体の地盤沈下を食い止めることにもつながる。

緊急事態宣言の発令で業務用がさらに苦境に陥るのは明白。2020年10月にはRTDと競合する新ジャンルの酒税増税が予定されている。RTDは酒税据え置きで価格差が開くことから、コロナショック以前から市場の拡大が見込まれていた。13年連続の伸びが確実視されていた中、突如拡大した「家飲み」需要。その伸びしろをどこまで伸ばせるかが焦点になりそうだ。