新型コロナウイルス感染症が2020年夏の賞与に影を落とす。経団連が17日に発表した大企業調査によると、今夏の額は前年比でリーマン・ショック以来の下げ幅となった。米中貿易摩擦に加え、新型コロナに伴う需要蒸発により、鉄鋼や運輸などで大幅な減少が目立つ。冬はさらに落ち込むとの見方もあり、個人消費への影響が懸念される。

経団連は20年夏の賞与・一時金の1次集計結果を発表した。東証1部上場で21業種257社を対象に調査。今回は86社の回答を集計した。平均妥結額は92万5947円。回答企業の前年比は6・00%減で、下げ幅はリーマン・ショック時の09年夏(19・39%減)以来の大きさだった。製造業は同5・14%減の90万960円、非製造業は同9・88%減の107万9915円だった。最終集計は7月下旬に公表予定。

みずほ総合研究所の嶋中由理子エコノミストは「緊急事態宣言が出された4―5月の影響が反映されやすい冬期の賞与はさらに減るだろう。中小企業は大企業より深刻だ」と指摘。また「休業要請などで強制的に抑えられた個人消費は戻りやすいが雇用・所得悪化に伴う消費低迷は回復しにくい」としている。

影響直撃の業界も…

航空大手の全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)は航空需要の激減を受け、夏季賞与を前年比半減させる方針だ。ANAはグループ4万2000人を対象に一時帰休を実施。「雇用は維持して、危機を乗り越える」(福沢一郎常務執行役員)方針で、需要回復が見えない中、資金流出抑制を主眼に置いた。JALは「雇用を守るのは経営の原点だ」(菊山英樹専務執行役員)とし、雇用調整こそ回避したもののANA同様にキャッシュアウトを抑える。

JR東日本は「6月に入って(通勤客は)戻ってきているが、厳しい状況は続く」(深沢祐二社長)とし、約30年ぶりの低水準となる前年比0・51カ月分減の2・4カ月分に一律5000円を加算して支給すると回答。

鉄鋼大手3社は21年3月期の年間賞与を前期よりも大幅に減額する。日本製鉄が組合員モデル値で100万円(前期比57万円減)、JFEスチールが120万円(同39万円減)、神戸製鋼所が95万円(同31万円減)。20年3月期は巨額赤字で、業績連動方式では算定できず、労使による別途協議で決定した。

一方、トヨタ自動車は3月に妥結した年間賞与6・5カ月分、日立製作所も同6・0カ月分を支給する。ただ日立の東原敏昭社長は「危機管理下では営業キャッシュフローと投資キャッシュフローのキャッシュバランスをとりながらの経営が必要だ」と強調する。

三菱ケミカルの和賀昌之社長は「(米中貿易摩擦などで)昨秋から下降方向にあり、賞与を増やせる業績ではない」と話す。「(資金確保へ)ステークホルダーや従業員に対し痛みを分かち合う」(SUBARUの中村知美社長)との声もある。コロナ禍で賞与に下押し圧力がかかる。