第1号機「セミオリンパスI型」の発売から約84年―。“カメラ女子”の火付け役となった「PENシリーズ」などを手がけたオリンパスは、デジタルカメラ事業から撤退し、医療機器事業に経営資源を集中する。市場縮小の中で復活の手だてを探ってきたが、新たな成長軌道を模索することになった。(2回連載)

営業赤字続く

過去約10年の映像事業は2009年度と16年度を除いて営業赤字が続いた。最大の要因はスマートフォンの普及・高機能化によるデジカメ市場の急速な縮小。18年度に中国・深センの工場を操業停止すると、生産移管の費用の計上や新製品投入の停滞も業績に響いた。

立て直しに向けて、交換レンズ中心のビジネスへの移行を目指した。交換レンズは利益率が高く、製品のライフサイクルも長い。オリンパスが採用している「マイクロフォーサーズ規格」は望遠レンズを小型化・軽量化しやすく、他社では難しい製品も実現できる。魅力ある製品で「レンズに必要なボディーを買ってもらうビジネス」(杉本繁実執行役員)を確立することで再起を図っていた。

需要減追い打ち

しかし、20年に入りデジカメ市場は急速に悪化。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が需要減退に追い打ちをかけた。

オリンパスは映像事業の売却はあくまで医療分野への投資の集中が狙いであり、新型コロナ影響とは切り離した事象としている。だが、コロナ影響を除いても、技術の進化のスピードが速いデジカメの研究開発体制を維持し続けることはそもそも難しかった。

オリンパスはデジカメを中心とする映像事業を分社化、構造改革で黒字化の見通しを立てた上で、ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却する。竹内康雄社長兼最高経営責任者(CEO)はデジカメ事業撤退後について、「内視鏡の開発や市場へのアクセスがまだまだ足りない点がある」とし、医療事業へ経営資源を集中する方針を示した。

デジカメ市場規模は08年に出荷金額が約2兆1000億円を超えた後、急速に縮小。出荷数量も現在はピーク時の10年に比べ、約12%まで減っている。厳しい環境が続く中で、ファンドに売却するオリンパスの映像事業をどの企業が手中に収めても、相当の覚悟が必要になりそうだ。

調査会社のBCN(東京都千代田区)の道越一郎チーフエグゼクティブアナリストは「スマホなどへの技術転用の可能性を考えれば海外企業が手を出す可能性も皆無ではない」と分析する。

技術には定評

オリンパスのカメラは手ぶれ補正に定評があり、光学技術も他社に引けを取らない。光学技術や画像処理技術はスマホ開発にとって不可欠な要件だが、手を出すとなれば市場環境のリスクとてんびんにかけることになる。

オリンパスは重荷を下ろし、収益構造の強化に動きだす。


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