医療従事者と一緒に社会問題を考える―。民間非営利団体(NPO)のまもるをまもる(西垣孝行・大浦イッセイ代表理事、京都市下京区)は、誰でも関心を持った社会問題を画像として投稿でき、医療従事者や企業関係者と意見を交わせるウェブサイトを公開した。社会問題や医療ニーズを議論し、医工連携による解決を目指す。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの人と医療従事者の意見や医療現場の課題を共有する仕組み作りが始まった。(取材=森下晃行)

「ちょうどよい大きさ」「マスクをしてても口元のシールドは必要なのか」。フェースシールドをつけた男性の画像に、30ものコメントがつく。装着すると暑いという指摘に、額にあたる部分が冷感素材だと涼しいかも、と意見が出た。

同団体が運営する「エヴァグラフィー」は、フェースシールドの機能性といった問題を画像で投稿し、医療従事者や企業関係者と意見を共有するウェブサイト。これまでは医療従事者だけが参加できる会員制だったが、新型コロナ対策の一環として誰でも参加できる特設サイトを新たに9日公開。既に約120人が登録している。

投稿画像やコメントから社会問題や医療ニーズを洗い出し、新製品の開発などで解決を図る。「画像やコメントには著作権が生じる」と共同代表の西垣代表理事は説明する。提携企業は画像やコメントの投稿者に、著作権に基づく報酬を支払い、連携を促す仕組みだ。

まもるをまもるは「患者の命を『まもる』医療従事者たちを『まもる』」という理念で運営する。医療ニーズを発見し、企業との医工連携で解決を目指す。現在は河合電器製作所(名古屋市天白区)と共同で、弱った心肺機能を代替する心肺補助システム(ECMO)の結露を防ぐ製品を開発中だ。

2018年に、臨床工学技士の西垣代表理事と産業デザイナーの大浦代表理事が立ち上げた。産業界が医療ニーズを知る機会は少なく、効果的な医工連携のためには意見交換の場が必要。また、アイデアや意見を提供する医療従事者の知的財産権も守らねばと西垣代表理事は強調する。エヴァグラフィーの運営以外にも、医療従事者がニーズを対面で議論するワークショップなどを行う。

19日に全国のモノづくり企業が製造したフェースシールドを評価するイベントを実施した。新型コロナ対策でさまざまな企業がフェースシールドを製造するが、機能や使い勝手はまちまち。そこで集中治療室(ICU)を模した空間で医療従事者が製品を身につけ、床にこぼれた液体を拭き取るなど医療現場の状況を再現した。医療従事者本人や状況を観察する第三者が使用感や使い勝手を評価し共有。参加者からは「頭を締め付けすぎるものは使わない」「製品によって消毒のしやすさが全然違う」など意見が出た。

同団体は医療ニーズの可視化や解決を目的に活動する。新型コロナの感染拡大により、医療従事者の負担は増え続けているが、もともと病院や診療所の課題を一般人が知る機会は少ない。社会問題や未解決の医療ニーズにスポットライトを当てる取り組みに注目が集まる。