新型コロナウイルス感染拡大の影響で、スポーツ大会は中止や延期が相次ぐ。東京五輪・パラリンピックも2021年7月へと1年延期となった。同年5月に予定されるワールドマスターズゲームズ(WMG)2021関西も、再び感染が拡大する現状では不透明だ。今後のスポーツ産業やコロナ禍の対応について、ミズノの水野明人社長に聞いた。

―足元の状況は。
「無観客試合など少し再開してきたが、4―6月はスポーツ大会がほぼゼロだった。当然需要もなくかなり厳しい。21年3月期の通期業績予想も現状では見通せない。一方、働き方ではプラス面もあった。コロナ禍でテレワークが進み、業務の無駄が省けた。大阪本社の出社率は現状5割程度。部署によって差はあるが、平均してこの水準は維持できる。コロナが収まっても継続したい」

―延期となった東京五輪への対応は。
「ナショナルチームに納める用具など準備を進めてきたものが停止している。来年に向けてより磨き上げていくが、その点は大変な作業ではない。当社ブランドをアピールする舞台が延期になったが、当社には大きな影響はない」

―WMG21関西ではメジャーパートナーを務めます。
「30歳以上の一般人が多種目のスポーツを競う国際大会であるWMGは、当社にとって実需のある大会。中止になれば痛手だ。ただ、WMG需要よりも一般的なスポーツ市場の方が大きく、そちらが正常化する方がありがたい」

「我々がもくろんでいたのは、19年のラグビーワールドカップ(W杯)から3年連続で大型国際大会が日本にやってくるゴールデンスポーツイヤーズによる、スポーツへの機運の高まり。ラグビーW杯が大成功を収め、『スポーツは楽しく、感動するものだ』という流れを今年も期待していたが、コロナで完全になくなってしまった。ワクチンの開発などが進み、従来通りスポーツに熱狂できる世界になってほしい」

―コロナ禍で開発した水着素材を使った「ミズノマウスカバー」が大好評です。
「当初用意していた2万枚が1日で完売し、オンラインショップのサーバーがダウンするなどお客さまにはご迷惑をおかけした。現在約157万枚まで増産体制を整え、いち早く届けられるよう尽力している。今はマスク不足も解消されてきたが、夏は冷感素材、冬は吸湿発熱素材を活用するなど機能性で差別化していくことも考えられる。まずは受注分をしっかり生産し、一段落したら次の企画を検討している」

ミズノの水野明人社長

【記者の目】
学生のスポーツ大会に関しては地方大会などは実施される。水野社長は「(一般的なスポーツ市場は)全体的に8割くらいまでは需要は戻る」とみる。一方で、再開されつつあるスポーツの試合について「無観客などでは選手はもちろん、見る人も熱狂しづらい」と指摘。コロナ禍の苦境をどう乗り切るか、難しいかじ取りとなる。

(大阪・新庄悠)