新型コロナウイルスの流行が世界経済に影を落とす。しかし、電子部品業界では前向きな見立てが目立つ。第5世代通信(5G)関連需要が堅調に推移。世界同時不況で主要産業の自動車業界向けなどは大きく落ち込むが、その車載部品も「6月を底に、引き合いが増え始めた」(谷本秀夫京セラ社長)との声が聞かれる。景気の先行指標とされる電子部品の動向が注目される。

各社とも6月までの売上高は低迷し、自動車業界向け事業がそろって特に厳しい。ただ国内自動車大手の生産回復が早まったことで、車載部品は「想定より早めに回復しそう」(谷本京セラ社長)と、順調に立ち上がるとの見方が浮上。車1台当たりの電子部品搭載量の増加が見込める電装化の流れが継続していることも大きい。

車業界の設備投資は依然、低調に推移する見込み。そのためオムロンの主力の制御機器事業は厳しいが、その一方で「EV(電気自動車)やADAS(先進運転支援システム)の需要はある」(山田義仁オムロン社長)。

コロナ禍にあっても好調なのが通信関連向け部品。5Gや、企業業務のICT(情報通信技術)化、テレワーク普及が追い風となり、「想定以上に需要が増加している」(山西哲司TDK取締役専務執行役員)という。

特に二次電池や積層セラミックコンデンサー、高周波部品が好調だ。村田製作所の竹村善人取締役常務執行役員も楽観視はできないとしつつ、「7月単月の受注は前年同月と比べ、10―15%上がってきている」と話す。日本電気硝子の薄型パネルディスプレー用ガラスの販売も5月が底で、6月から立ち上がってきたという。

さらなる感染拡大や米中の対立激化はじめ、企業業績に影響しそうな懸念材料は多く世界的な業況は良くはない。だが、永守重信日本電産会長は「外部環境が悪くても自分たちで風を起こし、たこを揚げる戦いができるチャンス」と指摘する。


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