厚生労働省の専門部会は27日、慶応義塾大学医学部の福田恵一教授らによるヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の心臓の細胞を使った再生医療の臨床研究計画を了承した。心臓の収縮機能が低下する「心不全」のうち重症な患者に、他人(他家)由来のiPS細胞から作った心臓の細胞の一種「心筋細胞」を移植する。2020年内に最初の移植を実施する見込み。

同日、ウェブ上で開かれた慶大の会見で福田教授は「患者に早く治療法を届けたいが中途半端な技術で移植するわけにはいかない。慎重にステップを確かめ研究を進めていきたい」と語った。

臨床研究の対象者は慶大病院の20―74歳の心不全患者。患者1人当たりiPS細胞由来の心筋細胞5000万個を、心臓の中で血液を送り出すポンプの役割を果たす「心室」に移植する。その際に手術と移植方法、移植用に開発された機器、移植した細胞が正常で安全に機能するかなどを確認する。

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から提供されたiPS細胞を利用。慶大がiPS細胞から心筋細胞を作製し、重症な心不全患者の心臓に移植する。

すでに福田教授らが行った動物への移植実験で、ヒトのiPS細胞から作った心筋細胞の移植治療の効果が確かめられている。心筋細胞になる前の未分化iPS細胞が移植組織内に残っているとがんが作られる可能性があるが、組織内に心筋細胞のみを残す方法を開発し、がんができにくい安全性の高い心筋細胞を作製している。