SkyDrive(スカイドライブ、東京都新宿区、福沢知浩社長)が、「空飛ぶクルマ」の実現に向け大きな一歩を踏み出す。日本政策投資銀行(DBJ)や伊藤忠商事など10社から、計39億円の資金調達を完了。合わせて国内で初となる有人飛行試験の様子も披露。開発スピードをより加速し、2023年の事業化を目指す。

「新型コロナウイルス禍の中でも無事に完了できてよかった」。福沢社長は笑顔を見せる。第三者割当増資を引き受けたのは、他にENEOSイノベーションパートナーズ、大林組、NEC、三井住友ファイナンス&リースなど。今回の資金調達の特徴は事業会社が多く参画したことだ。

例えばENEOSはガソリンスタンドを活用した充電・離着陸ポートの整備、三井住友F&Lは機体のリース、NECは運行管理システム構築などを支援する。福沢社長は「資金だけでなく業務の面でも連携して新たな産業を作っていける」と期待する。

スカイドライブが実用化を目指すのは幅4×長さ4×高さ2メートルで、4カ所に配置された計八つのプロペラで飛行し垂直に離着陸できる、2人乗りの世界最小の空飛ぶクルマ。まずは25年の大阪万博を見据え、23年に大阪府の湾岸地区でタクシー運行サービスを始める計画だ。このほど1人乗りの試作機が4分ほど飛行する様子も公開した。空飛ぶクルマの産業化に関わる経済産業省の関係者は「実際の機体があることで、具体的な制度作りを加速できる」と意義を説明する。

一方、実用化のハードルは高い。一部の部品が故障しても飛行を続けて緊急離着陸できる仕組みなど、安全面で航空機と同レベルの認証を得る必要がある。このため4月には元三菱航空機副社長の岸信夫氏を最高技術責任者(CTO)に迎えた。「航空機業界の第一人者として知見やネットワークを生かせることは大きい」(福沢社長)。欧州や中国、米国を交えた開発競争の中、制度作りも含めた官民連携をさらに強化する方針だ。