ファミリーマートとローソンは遠隔操作のロボットを試験導入する。人手不足対策が目的で、両社ともテレイグジスタンス(東京都港区)の遠隔操作ロボを使い、店員に代わって商品の検品や陳列業務を担う。労働集約型の小売業は、電機や自動車などのメーカーに比べてロボの導入が遅れていたが、今回の導入を機に広がる可能性が出てきた。(編集委員・丸山美和)

VRで操作

使用するのはテレイグが開発した人型の遠隔操作ロボ「Model―T」。身長は約80センチメートルで、下部にあるリフトが上下して高さを調整する。8月に試験運用を始めたファミマの狩野智宏オフィサー広域・大規模法人開発部長は「陳列業務は店舗業務の3割を占める。店員の作業軽減を目的にしており、人に代わるものなので人型ロボを選んだ」と説明する。

ファミマでは、東京都豊島区の店舗に設置したロボを、都内の別のオフィスにいる操縦者がヘッドセットとコントローラーを使って仮想現実(VR)の映像を見ながら操作する。ペットボトル飲料をバックヤードから棚に補充する陳列作業から始め、陳列速度や精度を検証する。その後、おにぎりやパンなど対象商品を広げて、店内で作業する。

現段階では、補充作業に10秒を要している。「コンビニには1日8―9便の配送トラックが来ることから算出して、8秒まで短縮したい」(狩野部長)という。パンなどの柔らかいものをつぶさずに、薄い商品を確実につかむ点などにも改良の余地がある。狭い店内でロボが動くため人の安全性確保、店内の警備システムとの連動などさまざまな対応も必要となる。

検証を経て、2021年春にはテレイグがファミマと加盟店契約を結び、全国の約20店舗に同ロボを導入し本格稼働する。同ロボに人工知能(AI)で関節の動きなどを学習させて、将来は自律させる狙いだ。

自律制御へ進化

ロボは遠隔操作のため、1人の操縦者が複数店の作業をこなすことも可能になる。コンビニ店員や作業経験者である必要はない。「人と接する仕事が不得手だったり、外出が困難だったりする人の雇用にもつながる」(同)と、人手不足対策だけではなく新たな雇用の場の創出にも期待する。

「現状、加盟店オーナーは時間単位でアルバイトを雇用しているが、ロボなら一作業完了ごとに支払える」(同)利点もある。今後ファミマでは、アルバイトスタッフなどの確保が難しい加盟店オーナーがロボを導入しやすいようパッケージにして提供する計画。無人レジなどの導入も視野に入れているが「接客は店舗スタッフが行う。ロボが肩代わりした分は接客業務の充実につなげる」(同)。

ローソンは14日に東京都港区にオープンする店舗にロボを試験導入する。人手不足に加えて、人件費高騰対策を見据える。おにぎりや弁当のほか、チルド飲料など要冷蔵商品、酒類などの品出しから始める。フライドフーズの調理作成や陳列も検討しており、最終的には自律的な制御で動くまで進化させる。

スタートライン

牧野国嗣ローソン理事執行役員オープン・イノベーションセンター長は「AIとロボティクスで小売りの課題を解決できる」と、ようやくスタートラインにたどり着いた現状を歓迎する。

ロボは店舗作業、接客、物流拠点での利用を計画。店舗では配送トラックからの商品受け取り、在庫チェック、陳列に加えて、商品の消費期限確認・撤去、店内調理、店内設備の清掃などを想定する。接客にはコミュニケーションロボの導入も考えている。物流拠点でも「倉庫での作業をロボが代行できないかを検討している」(牧野執行役員)。

経済産業省も小売業などがロボを導入しやすくするため、9月に通信規格を統一するなどの実証実験を始める計画。産官でロボ普及に向け動きだしている。