セイコーエプソンは、工場作業員のレベルに合わせて仕事を割り当てる「差立(作業手配)」を自動化するスマートフォン用アプリケーション(応用ソフト)を自社工場向けに開発した。従来現場リーダーが行っていた差立を自動化し、より効率的に作業を割り当てられる。インクジェットプリンターの基幹部品を生産する広丘事業所(長野県塩尻市)9号館で今秋にも導入する。工程間で作業者が介在する時間を、従来比79%削減できる見込み。

新アプリは、従来から利用していた生産管理システムと作業員の管理システム、各装置を連動。機械の空き状況と終了予定時間を計算し、効率的に設備が稼働できるように差立を行う。最短で資材を搬送できるように仕事を割り当てるため、作業員の移動距離短縮にもつながる。

アプリを立ち上げると、各作業員は1日の作業スケジュールを確認できるほか、現場リーダーは各作業員の作業進捗(しんちょく)を確認できる。従来の差立は、現場リーダーがシステム上で行い、各作業員は運搬用台車に設置したタブレットで作業工程を確認していた。

広丘事業所9号館は、インクジェットプリンターの基幹部品「プリントヘッド」の前工程となる「プリントチップ」を生産している。従来、前工程のチップの生産は諏訪南事業所(長野県富士見町)のみだったが、より効率の良い製造ラインの構築を目指して2018年に設立した。需要に応じて段階的に増強しており、今後チップ生産能力を従来比最大3倍まで高める方針。

こうした構想を踏まえ、同館は生産工程の自動化を進めてきた。作業員はタブレット付き運搬台車で次工程を確認したり、無線識別(RFID)タグを使った棚で製品を在庫管理したりできる。人工知能(AI)を搭載した外観検査装置を用いて、不良品の自動判定も行う。諏訪南事業所と比べて、作業員の数を20%削減する目標を掲げる。

セイコーエプソンが独自開発したプリントヘッド「プレシジョンコア」は高精度、高密度にインクを吐出できるのが特徴で、オフィス用の複合機や商業・産業用の大判プリンターなどに搭載している。同社は、商業・産業向けインクジェットプリンター事業で19―21年度に過去3年間と比べて3倍以上の機種を市場投入する。さらにプリントヘッド外販の世界シェアで、25年度に18年度比52ポイント増の70%を目指している。