新型コロナウイルス感染拡大により、食品市場が大きく変化している。外食から内食へのシフトや、より健康意識が高まる中で、事業ポートフォリオの組み替えなど、食品メーカーは戦略の修正を求められている。明治の今後の取り組みを松田克也社長に聞いた。

―新型コロナウイルス感染拡大で、各事業にどのような影響が及んでいますか。

「テレワークの推進で新商品の商談がきちんとできていない。春に手軽にたんぱく質を摂れる『タンパクト』や、紫外線(UV)から肌を守るヨーグルト飲料『素肌のミカタ』を発売したが、商談ができず、売り場を作り切れていない」

―消費者の健康志向がますます高まっています。

「上期はコロナの影響があり、チョコレート市場全体は前年を若干割っているが、機能性チョコレート『チョコレート効果』や『オリゴスマート』は堅調だ。チョコレートは健康にはネガティブなイメージだったが、能動的に継続して摂る食品に変わりつつある。新たな提案をしながら、伸ばしていきたい」

「自粛期間中、スポーツジムが休業したため、プロテイン『ザバス』の売り上げは大きく落ちた。だが、6月に緊急事態宣言が解除され、営業を再開すると、売り上げはむしろ増えている。ザバスは19年に倉敷に工場を新設し、生産能力を倍増し、21年は京都工場にラインを増設する計画だが、これを急ぎたい」

―厳しい事業環境の中で、成長に向けて注力する分野は。

「海外事業のシェアは全体の売上高の5%にも満たない状態で、海外を伸ばすことは命題だ。最も注力している中国は19年に初めて黒字となり、統括会社を設立した。中国はチルド牛乳の需要が伸びているため、今後、既存の蘇州に加え、天津、広州にも工場を新設するなど積極的に投資する」

「欧州ではダノンと提携し、キューブタイプの粉ミルクの製造技術を供給する。21年からテスト販売に着手するが、今後は、工場の新設や販売エリアの拡大など、欧州も力を入れていきたい」

記者の目/コロナ禍で機能性食品増える

明治は新型コロナウイルスの感染拡大以前から、ヨーグルト「R―1」や「チョコレート効果」など健康を切り口にした商品の開発を進めており、それぞれの市場でゲームチェンジャーとなってきた。機能性食品はコロナ禍でますます需要が増している。今後も明治は商品を通じて市場に新たな提案を仕掛け、事業拡大を狙う。(高屋優理)