半導体製造装置業界では中国市場の活況が続いている。日本半導体製造装置協会(SEAJ、東京都千代田区)と米SEMI(カリフォルニア州)が9日に発表した2020年4―6月期の中国市場の半導体製造装置販売高は、前年同期比36%増の45億9000万ドル(約4860億円)だった。第5世代通信(5G)やデータセンター(DC)向け半導体の需要増に伴い、メモリー、ロジック、半導体受託製造(ファウンドリー)の投資活発化が寄与したとみられる。一方、米中貿易摩擦の先鋭化は装置業界の先行きを曇らせる。(張谷京子)

20年4―6月期の半導体製造装置販売高はグローバルで前年同期比25%増の167億7000万ドルとなった。地域別では、中国が最も多く、韓国、台湾と続いた。SEAJ事務局は「中国地場の半導体メーカーが投資を増やしている」と分析。中国政府が半導体産業の育成を強化していることが背景にあるという。

東京エレクトロンは、メモリー向け売り上げの増加により、半導体製造装置の中国向け売上高が4―6月期に同2・7倍。年後半に向けてもファウンドリーの投資拡大を予想する。

コロナ禍で国境をまたいだ移動制限が発動されているが、従来から現地化を進めていて影響を回避できた。需要増に合わせ、現地従業員と日本からの駐在員の数を増やすことを検討しており、今後は「現地従業員のスキル向上を強化する」(グローバル・セールス本部の松本直孝ゼネラルマネージャー)。

ただ、従来は現地従業員が日本の同社工場で研修を受けていたが、現在はコロナ禍による出張制限で日本での研修が実施できない。そのため、近く現地法人に同装置を納入し、現地でも研修を実施できるようにする方針だ。

SCREENホールディングスも、同装置の4―6月期の売上高が中国で同23%増と堅調に推移。今後も、メモリー、ファウンドリーともに堅調な投資継続を予想する。

SEMIは、20年の半導体製造装置販売高が中国市場では前年比29%増の173億ドルになると予測。グローバル全体の3割を占め、20年、21年と世界最大の装置市場となる見込みだ。

一方、リスクの一つは米中貿易摩擦の激化だ。米国は5月、華為技術(ファーウェイ)など中国企業に対して米国製製造装置を使った半導体製品の輸出を禁じた。これにより、半導体産業では一部投資を抑制する動きも広がっているもよう。

アドバンテストの吉田芳明社長は米国による中国への制裁発動以降、「(顧客である)半導体後工程請負業(OSAT)の投資姿勢が急激に変化し、OSAT投資は当面低迷する」と予想する。中国市場への影響は明らかではないが、今後も市場動向を注視する状況が続きそうだ。