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北海道ガスは独自に開発したホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)「EMINEL(エミネル)」の普及を進めている。電気、ガス、灯油などの生活インフラ事業で競合に打ち勝つ決め手は価格とされる。しかし北ガスが提示したのはIoT(モノのインターネット)を活用し、利用者の生活に合わせた暖房使用の省エネ化実現。全国のガス事業者の中で、唯一使用量を調節するシステムの開発、導入を進めている北ガス。オンリーワンのサービスで差別化を目指す。

【最適温度キープ】

寒冷地の北海道では暖房に使うエネルギー量が関東地方の約3・7倍に達する。しかも真冬の厳冬期になると、水道管の凍結を防ぐ目的も加わり、暖房を止めずに24時間運転している家庭が多い。このため、いかに暖房エネルギーを効率的に使用するかが、省エネ実現のカギとなる。

エミネルのシステムはガス給湯暖房機、暖房制御ユニット、マルチセンサー、ゲートウェイ、タブレット端末などで構成する。ゲートウェイを通して全ての機器はインターネットに接続し、北ガスのサーバーにデータが送られる。

ユーザーはエミネルの導入直後に暖房の温度などを入力さえすれば、後はほとんど手がかからない。日中、家屋に人がいなければセンサーが暖房を最小限に抑え、在宅時は運転能力を上げて一気に部屋を暖める。夜間も自動的に温度設定が低くなり、睡眠時に最適な温度をキープする。

運転モードはアプリケーション(応用ソフト)内にある在宅、外出、就寝の中から選択。室温はユーザーが好みの温度を設定できる。さらに曜日ごとに設定を変えることも可能。平日と週末とで運転モードを細かく設定することができる。

IoTを活用して省エネを実現する「EMINEL(エミネル)」

【コンシェルジュ】

人がいる時間帯や昼間の日射量をセンサーが感知して暖房の省エネ自動運転を続ける。サーバーに送られる日々のデータは、一定期間ごとに分析されてユーザーの手元に届けられる。その際、他のユーザーや平均データと比べ「室温が高い」「エネルギー利用量が多い」といったことなどをタブレット端末などに伝えるコンシェルジュ機能も備える。

北ガスではスマートエネルギー推進室を中心に、エミネルのハードウエアとアプリなどシステムの開発を進めてきた。2015年から開発に着手し、18年にサービスを開始。19年度末にユーザー数は500を超えた。

【個々にやりとり】

「通常、インフラ企業は利用者の個々の声を聞くことはほとんどないが、エミネルのユーザーとは細かいやりとりもできるようになった」(佐藤法世主査)と、新サービスのメリットを強調する。現時点では新築の一戸建てユーザーに限りシステム導入が可能だが、既存の住宅に住むユーザー向けに暖房機器を更新する際にも導入の枠を広げる。

日々、生活インフラの利用者が求めるのは「安心と信頼」に尽きる。こうしたニーズをエミネルはIoTを介して実現する。(札幌・市川徹)