化学メーカー各社の半導体材料事業が好調だ。新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワーク増加に加え、第5世代通信(5G)需要も立ち上がる。石油化学や自動車部材などが低調で、総合化学などは厳しい業績を余儀なくされる中、半導体材料は期初予想を上回って推移している。各社はさらなる需要拡大を見込み、設備投資も相次いでいる。

信越化学工業は7―9月期、半導体ウエハーの直径300ミリメートル品出荷量が四半期として過去最高を記録した。「コロナ禍からの経済活動再開や米中貿易摩擦を背景とした在庫積み増し」(轟正彦専務)などが背景にある。

フォトレジストの需要も拡大。同社は計300億円を投資し、直江津工場(新潟県上越市)で主力のフッ化アルゴン(ArF)フォトレジストの生産能力を現状比1・3倍、台湾では多層レジスト材料の生産能力を同1・5倍に高める。直江津工場に加え台湾でも、5G普及などで需要拡大が見込まれる極端紫外線(EUV)レジストの生産を始める。

JSRは4―9月期の半導体材料売上高が前年同期比13%増。EUVレジスト事業を強化する企業が増える中、宮崎秀樹取締役常務執行役員は「リソースを投入して開発を進める。優位性を確保し、拡大していく」と強調する。住友化学も国内外で半導体材料を増産。22年にはEUVレジストの開発・評価体制の強化を担う新棟を大阪工場(大阪市此花区)に完成させ、5G需要の取り込みを狙う。

レジスト材料を製造する東京応化工業は、EUV向けが微細化需要で引き合いが強い。高粘度フッ化クリプトン(KrF)レジストも、NAND型フラッシュメモリーの高密度化・大容量化向けに好調だ。三菱ガス化学は半導体ッケージ材料の「BT積層板」が好調で、22年にタイで同製品の生産能力を現行比数割増強。三菱ケミカルホールディングスも20年4―9月期に半導体関連の出荷が想定を上回って推移。増産投資やM&Aにより、中長期で半導体関連の売上高を1000億円超へ引き上げを目指す。