ティシューバイネット(東京都北区、大野次郎社長)は、京都大学形成外科の森本尚樹教授と共同で人工皮膚の開発に着手した。同社の細胞を結合させる独自技術「ネットモールド技術」を使い、皮膚の元になる細胞を固める。細胞は結合時、自らコラーゲンを生み出す。板状に固めれば皮膚そのものを作れるという。縫合可能な強度も備え、治療に使えるようにする。2028年に再生医療製品として承認を目指す。

がんの元になる母斑などをもつ患者の正常な皮膚を採取し、中の細胞を取り出して培養する。この細胞を網を組み合わせた鋳型に入れ、培養液に入れる。それぞれの細胞が結合し、人工皮膚として形成される。正常な皮膚を広範囲で採取する必要がなくなる。

実際の肌と同じく、細胞だけで構成される。生着率が高くなる可能性がある。また、なめらかな見た目の皮膚として、疾患部分に移植できる。従来の方法では、不自然な凹凸ができるのを避けられないという。

既に14ミリメートル角のサンプルは完成しており、国立循環器病研究センター生体医工学部の山岡哲二部長が強度を実験中。21年にはマウスに移植する実験を実施する計画だ。

大野社長は「ネットモールドは低コストでシンプルな技術。人工皮膚作製にうってつけだった。多くの患者さんの治療に役立ってほしい。26年には京都大学病院で、人による臨床試験に入りたい」と意気込む。

ティシューバイネットは18年に設立したバイオベンチャー。ネットモールド技術は日米欧で特許を取得している。