スマートグラス部品外販、多様化する需要取り込む

セイコーエプソンは、スマートグラスの基幹部品である光学エンジンの外販を始めた。製造業や大学の研究室など、特に業種は問わず幅広く提供する。スマートグラス関連のコア技術を持つ複数の企業との協業につなげ、コロナ禍によるスマートグラスの市場拡大を取り込む。

「エプソンモデルだけでは、多様化するニーズに追いつかない」―。津田敦也VSMプロジェクト部長は外販の狙いを、こう話す。

セイコーエプソンは独自開発のシリコン有機ELで小型・軽量と高画質を両立したスマートグラス「モベリオ」シリーズを車の遠隔販売や製造業の遠隔研修など向けに展開していた。だが、コロナ禍で用途が拡大。外出自粛や出張制限を受け、製造現場の遠隔作業支援や在宅で動画を視聴する巣ごもり消費など、新たな需要が生まれた。

そこで始めたのが光学エンジンの外販だ。「モベリオ」シリーズでは、従来から注力してきた製造現場での遠隔作業や販売促進、観光領域などにフォーカスし、その他の領域は外部に任せる。開発リソースを抑制しつつ、拡大するスマートグラス市場を取り込む。

外販ビジネス展開の背景には、消費者にスマートグラスの品質・精度を正しく認識してもらいたいという狙いもある。津田部長は「我々が提供する品質の高い部品を使ってもらって、一定のレベルに達していることを市場に認知してほしい」とする。

津田部長によると、中国では粗悪な部品が出回っており、完成品の画質も粗いものがほとんど。消費者からの評価が得られなければ、スマートグラスの市場成長の鈍化につながりかねないという。

スマートグラスの活用分野は、製造や販売、エンターテインメントだけにとどまらない。エプソンは、リモートワークの需要増も追い風になるとみている。USB規格「タイプC」に対応したエプソンのスマートグラスを用いれば、パソコンとの接続も可能。ウェブ会議を大画面で行えるようになる。仮想視聴距離2・5メートル時には、40型相当の仮想画面サイズとなる。

エプソンは、多様化するニーズを取り込むため、スマートグラス関連技術を持つ企業との連携を通じてハードウエアプラットフォーム(基盤)を構築。「身につけるディスプレー」の技術革新につなげる。