「Go Toトラベル」キャンペーンと、秋の旅行シーズンを起点に、観光産業のすそ野を広げ、各地域で新たなビジネスモデルの創出が求められている。IoT(モノのインターネット)の活用はその一つ。地域の魅力と観光客をデジタルでつなぐ新サービスや、タッチレスによる「3密」対策が注目される。顔認証を用いた「IoTおもてなしサービス」に力を注ぐのは和歌山県の南紀白浜。富山市でも顔認証システムの社会実験が始まった。(編集委員・斉藤実)

南紀白浜はIoTおもてなしサービスの実証実験の期間を延長し、2021年3月末までIoT活用に挑む。観光客はまず自身のスマートフォンを用いて、専用アプリケーション(応用ソフト)「南紀白浜IoTおもてなしマップ」や南紀白浜空港の到着階にある2次元コードから、顔情報とクレジットカード情報などを登録する。登録完了後は、ホテルや商業施設、テーマパーク、観光名所などに設置されたカメラから顔情報を検出し、登録された個人を特定することで、さまざまなサービスと連動して観光客の満足度向上を目指す。

具体的には観光客の出迎えに始まり、ホテルの客室の解錠、テーマパークの優先入園やチケット購入時の決済、さらには商業施設での買い物や飲食店利用時の決済などが自動で行える。

10月1日に始まった富山市の顔認証システム社会実験では、同市中心市街地と岩瀬地区の店舗30カ所において、顔認証決済やおもてなしサイネージ体験などのサービスを社会実験として順次導入する。「自治体と連携し、街の広い範囲で顔認証決済を行う全国でも例を見ない実験」(NEC)として注目される。

新型コロナウイルス感染症が広がる前まではインバウンド頼みの観光産業が多かった。この先、新型コロナの収束が見通せたとしても、インバウンドが一気に回復するとは限らない。IoT活用をカンフル剤として、デジタル化の遅れが指摘される全国各地で新しいビジネスモデルが生まれることが期待される。