江崎グリコは2019年2月から夫婦でともに取り組む育児「Coparenting(コペアレンティング)」という考え方を軸にした「Co育てプロジェクト」に取り組んでいる。プロジェクトの一環として、出生後6カ月以内の子どもを持つ男性社員を対象に、1カ月間の有給休暇取得を必須化した。男性社員の育児参画推進をきっかけの一つとし、多様な人材が柔軟に働ける企業風土の構築を目指している。(新庄悠)

1カ月の有給休暇取得を必須化した「Co育てMonth(マンス)」は、江崎グリコ独自の制度として20年1月に運用を始めた。その前の19年4月に5日間の育児休職取得を義務化したが「通常の有給休暇と変わらない」「本格的な育児参画には程遠い」という声が寄せられ、行動変容につながらなかった。

経営企画本部コーポレートコミュニケーション部の宮崎友恵Co育てプロジェクトリーダーは「『子どものココロとカラダの健やかな成長』に取り組む企業として、もう一度原点回帰しなければならない」と抜本的な働き方改革に乗り出した。

Co育てマンスは10月時点で男性社員11人が取得、取得予定者は18人。対象となる男性社員の取得率は100%を達成している。Co育てマンス以外にも不妊治療や妊活、孫の学校行事への参加などのための有給休暇制度も設けている。

「Co育てマンス」を活用し、1カ月の有給休暇を取得した男性社員(江崎グリコ提供)

「1カ月休むというのはかなり勇気がいる」(宮崎Co育てプロジェクトリーダー)ため、業務の引き継ぎや案件によっては一時的に止めるなど入念な事前準備が必要となる。本気で育児に取り組んでもらうため、社用パソコンやスマートフォンを一時返却してもらうなど徹底した。

育休取得者や、その上司に取得前後の聞き取りを実施し、困った点など本音で語ってもらった内容を記事化して社内周知も進めた。「新制度の良い点と悪い点をヒアリングして課題を確認する中で、チームビルディングの重要性を実感する上司も多かった」(同)と、業務を見直すきっかけにもなった。

社外講師による管理職向け研修やセミナーも開催。部下の育児参画を上司がサポートする意義や育休を取れる職場環境づくりの重要性を学ぶ機会を設ける一方、育児の制度を介護にも応用していく狙いもあった。「介護は全社員に当てはまり、いつ誰が抜けても成果を上げながら働ける体制を今から整えておく必要がある」(同)。

社外向けに開発したオンライン子育て支援サービス「Co育てプログラム」の社内導入も目指す。夫婦で参加する体験型講座で、大阪府寝屋川市や奈良県三宅町などの自治体で導入が決まっている。スマホ向け子育てコミュニケーションアプリケーション(応用ソフト)も開発し、社内外で展開している。

取り組みが認められ、厚生労働省主催の「イクメン企業アワード2020」で理解促進賞を受賞。社内外の活動を双方に還元させながら、子育て支援の取り組みを加速させる。

管理職に「Co育て」推進研修を開いた(19年12月=江崎グリコ提供)