検証施設を共創の場に

製造業のニューノーマル(新常態)対応として、無人化や遠隔操作などの現場改革が急がれる。その実現には膨大なセンサーデータや高精細映像を扱う新たなインフラが必要だ。脚光を浴びるのは第5世代通信(5G)を地域限定で利用できる「ローカル5G」。富士通は新設のローカル5Gの検証施設「コラボレーションラボ」を共創の場として、パートナー各社とともにソリューション開発に乗り出した。

【プログラム用意】

「ローカル5Gの普及は1社ではできない」と語るのは、ローカル5Gで目玉とする垂直統合型サービスを指揮する専門組織「5Gバーティカルサービス室」の後藤知範室長。

コラボレーションラボは新川崎テクノロジースクエア(川崎市幸区)内に設置。ローカル5Gの基地局や専用通信端末、エッジコンピューティング用サーバーなどを整備するとともに「ソリューションを体感し、パートナー企業と共創するためのプログラムを用意した」(後藤室長)。

【有効性を検証】

第1弾は日本マイクロソフト(MS)との共創。富士通が提供するローカル5Gと、MSのクラウド基盤「アジュール」、「アジュールIoTエッジ」を統合し、ネットワークやアプリケーション(応用ソフト)処理を負荷に応じて最適化するシステムを構築した。

ローカル5Gを活用して、人や無人搬送車両の動きを撮影した高精細映像、モバイル端末やサーバーの稼働データをアジュールIoTエッジに伝送。同エッジ上では、人や無人搬送車両の動きをAIで映像分析し、それを基にリモート制御する仕組み。

データは富士通の業務アプリと連携し、モノづくりデジタルプレース「コルミナ」上で施設内の人の密度や無人搬送車両の移動経路、設備の稼働状況をダッシュボード上で一元的に可視化し、その有効性を検証した。

【海外展開も検討】

2020年度中に富士通の小山工場(栃木県小山市)でも検証する予定。これを踏まえ、MSとの協業により、5Gを活用したエッジソリューションの海外展開も検討していく。

5Gバーティカルサービス室担当の島津めぐみ執行役員常務は「ローカル5Gは22年以降に需要が本格化し、25年の国内需要は3000億円、グローバルは3兆円の市場規模が見込まれる」と期待を込める。(編集委員・斉藤実)