三菱重工「MSJ」開発凍結

日本の航空機産業は苦境の1年だった。頼みの米ボーイングはコロナ禍での航空各社の窮状を受けて大幅減産。日本の部品メーカーの業績も悪化した。三菱重工業は国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発について、2021―23年度の凍結を10月に表明した。

ボーイングは小型ジェット旅客機「737MAX」の18年と19年の2度の墜落事故で受注環境が暗転した。コロナ禍が追い打ちをかけ、20年7―9月期の納入は日本の航空機産業が部品の約35%を担う中型機「787」の場合で13機と、前年同期の35機から激減。同機の月産計画も19年央の14機を「21年央以降5機」に段階的に引き下げた。

「崖から落ちたよう。仕事は一時の半分。リーマン・ショックの後を含め、こんなに厳しい状況は経験がない」。ある航空機部品メーカーの社長は話す。ボーイングは大型機「777」なども減産。20年中の新規受注を期待していた新大型機「777X」の量産もいまだ始まっていない。

一方、三菱重工はMSJの21―23年度の開発費を、18―20年度の約20分の1の200億円に絞る。飛行試験も中止。過去の試験飛行データの整理と再評価のみを続け、市場の回復を待つ。

MSJは型式認証(TC)用の試験機「10号機」の初飛行に3月に成功していた。三菱重工は11月のサプライヤーへの説明会で「(MSJ事業を)やめるわけではない」と強調。カナダ・ボンバルディアの小型旅客機「CRJ」保守・販売サービス事業の買収を将来の事業化への布石と説き理解を求めた。それでも関係者には開発凍結は厳しい現実だ。

部品各社は段階的に発注が減った20年と比べ「底から始まる21年はさらに厳しい」とみる。「需要が戻るには数年」が通説だ。部品各社は航空機以外の新規受注を模索する一方、「自助努力だけで日本の航空機産業を維持できるのか」との声も聞こえ始めている。