日本精工は風力発電機向け大型軸受の生産体制を拡充する。中国遼寧省瀋陽市の生産拠点に3番目の新工場を建設し、一部設備の導入を始めた。新工場では今後3年間で30億―50億円を投資し、風力発電機向け軸受の生産能力を引き上げる。風力発電機は二酸化炭素(CO2)を排出しない再生可能エネルギーとして欧州や中国を中心に導入が拡大する。日本政府も脱炭素を担う主力電源として、洋上風力発電を2040年までに3000万―4000万キロワット導入する目標を掲げている。

瀋陽市の工場は産業機械事業の生産拠点で、主に鉄道と風力向けを製造する。現在は延べ床面積が2万3000平方メートル強の軸受工場と、同2万平方メートルのボールネジ工場が稼働。3番目となる新工場は同1万2000平方メートルで、軸受用として整備・活用する。このほど建屋が完成し、一部設備の導入を始めた。

新工場では市場の状況にもよるが、風力発電機向け軸受の加工用を中心に生産設備を導入する。中国国内への供給をメーンに据えるが、欧州にも輸出する方針だ。

風力発電を行う風車はブレード、ナセル、タワー、ハブで構成する。日本精工はナセル内部の、風車の回転力を動力に変換する増速機(ギアボックス)部分に使う軸受を手がける。風力発電機の大きさにもよるが、ギアボックス内では外径400ミリ―1000ミリメートルの軸受が11―15個稼働する。風車は数十年間の稼働を前提としており、搭載する軸受には厳しい環境に耐えられる高い信頼性が求められる。

中国は風力発電向けの補助金を年内に終了する予定だったが、洋上風力発電については継続する方向を打ち出している。米国もバイデン次期大統領が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を明言している。日本でも風力発電へ積極投資する動きが活発化しており、今後の需要拡大が見込める。