RPA、定型業務から解放

働き方改革は企業に限った話ではない。大学も同様で新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、大きく働き方を変える時期に差しかかっている。大阪大学はRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を活用した実証実験を始めた。在宅勤務などを含めた働き方改革の成否は職員の働きやすさ向上とともに、大学の本質とも言える研究・教育基盤の充実につながる。(大阪編集委員・林武志)

阪大は2020年11月からNTTデータ関西(大阪市北区)とRPAを活用した実証実験を始めた。同社が提供するRPAソリューションを導入し、事務業務の効率化を検証する。期間は21年5月まで。効果に応じて導入拡大をにらむ。

導入対象は定期的業務が多い総務部人事課と、消費税の検証作業で定型作業がある財務部資金管理課の2課。人事課の貝原亮任用係長は「国立大学の業務にもルーティン作業、大量業務、提携作業が多くある。RPA化で職員による定型業務を企画業務にシフトできると考えた」と、導入の経緯をこう話す。

2課の職員数は人事課約50人、資金管理課約30人(非常勤を含む)。RPA活用により人件費換算で年間300万円相当の定型業務を、各自の創造性が求められる企画業務への振り替えを目指す。

大学には契約、カリキュラムの編成、学生の成績データの集約など定型業務はまだまだ多い。阪大もデジタル変革(DX)構想を進める最中だ。今後、業務システムの効率化は不可欠となるが、RPAはその一翼を担う。

在宅勤務のあり方など職員の働き方改革について議論を重ねる(大阪府吹田市の吹田キャンパス=阪大提供)

コロナ禍は、大学職員にも働き方改革を促す。事務職員のテレワークは阪大の行動基準に基づくが、貝原係長は「在宅勤務活用は『在宅できる人はしましょう』といった形の比較的緩やかなもの。出勤の職員は多いが、在宅も認められやすい」と現状を打ち明ける。

出勤者が多いのはセキュリティー上の問題による。基準を満たした場合は個人パソコンを用いて自宅で業務ができるが、人事や財務会計システムなどは学内の限られた端末からしかアクセスできない。

阪大は育児などによる在宅勤務制度を導入済みだが、育児中の職員が自宅などで使う特別パソコンは10台程度にとどまる。今後は「自宅でも学内限定システムにアクセスできる特別パソコンを増やしたい」(貝原係長)考えだ。

コロナ禍で在宅勤務は広がりつつある。貝原係長は「望ましい在宅勤務のあり方についてワーキンググループ(WG)を学内に設置し、議論を重ねている」と力を込める。

事務業務の生産性向上が目的だが、真の狙いは教員の研究・教育時間確保の支援や教職員のワーク・ライフ・バランスの充実、学生サービスの向上につなげることにある。

大学の“主役”である学生や教員を支える職員が定型化した作業に埋没してしまうと、改革に直結する業務の創出も生まれにくくなる。職員の働きやすさは主役を引き立たせるためにも欠かせない。