宇宙ビジネスが成長産業として世界で盛り上がりを見せている。米国では民間初の有人宇宙船「クルードラゴン」を開発したスペースXをはじめ、民間による宇宙ビジネスが盛んだ。国内でも独自の開発路線を目指すベンチャーが新しいビジネスを構築している。世界の動きに遅れないよう官民一体の取り組みが求められている。

2019年の世界の宇宙産業市場は3660億ドル(38兆円)で、米金融機関のモルガン・スタンレーの公表資料によると、40年には約3倍となる1兆ドル(103兆円)に成長すると予測している。

一方、日本の宇宙産業の市場規模は1兆2000億円。内閣府は17年、今後の宇宙産業の利用拡大を目指す「宇宙産業ビジョン2030」を打ち出し、30年代早期に国内の宇宙産業の市場規模を現在から倍増させる目標を掲げた。宇宙利用が広がれば自動運転やスマート農業の普及などにつながり、大きな経済効果が期待される。

井上信治宇宙政策担当相は「ベンチャーを含む民間の活動の活性化が日本の宇宙活動の拡大に向け重要になる。宇宙ビジネスに関する制度環境の整備などを進め、宇宙ベンチャーを支援したい」と強調する。

宇宙産業の中でも人工衛星サービスの分野が大きく進展している。衛星やロケットの小型化・低コスト化で、高品質なデータや通信が安く提供できる環境が整いつつあることが背景にある。衛星データを利用することで農作物の生産性の向上やインフラ監視、自動運転につながる。

経済産業省の宇宙関連事業を受託するさくらインターネットは、クラウド上で衛星データを分析できる衛星データプラットフォーム「テルース」を開発・運用している。ユーザーは衛星データとその分析アプリケーション(応用ソフト)などの開発環境を利用。同プラットフォームを利用し、衛星と地上の複数のデータを組み合わせ資産調査や保険、株価予測などの新しいビジネスの創出が期待されている。

さらにベンチャーによる衛星システムの構築も進む。アクセルスペース(東京都中央区)は23年までに100キログラム級の地球観測衛星「グルース」数十機を地球周回軌道上に配置し、地球の陸地の半分を毎日撮影できる体制の構築を目指している。同社は18年に最初の1機を軌道上に打ち上げ、19年5月から観測サービスを開始。さらに21年3月に4機の衛星を追加で打ち上げる。合計5機の観測体制が実現すれば、日本付近の中緯度域を1・4日に1回の頻度で観測できる。中村友哉アクセルスペース最高経営責任者(CEO)は「競争相手が少ないうちに新たなニーズを開拓したい」と将来展望を語っている。

宇宙開発に各国がしのぎを削る中、日本は宇宙ビジネスを成功に導けるのか。地上の技術を結集し、新たなビジネスモデルの構築が必要になる。

アクセルスペースは3月に4機の人工衛星を追加で打ち上げる(クリーンルーム内に置かれた人工衛星)