2050年のカーボンニュートラルを見据え、風力発電が存在感を増している。特に洋上風力は再生可能エネルギーの中でも主力電源となり得る切り札とされ、官民で40年までに3000万キロ―4500万キロワットとする導入目標が掲げられた。世界の風力発電設備市場で日本企業は大きく出遅れるが、部品や材料、サービスを手がける企業で事業拡大に向けて期待が高まっている。

日本精工の内山俊弘社長は「中国では洋上風力へのインセンティブは継続する方向が打ち出されており、日本でも積極的に取り込む姿勢が示されている。米国もパリ協定に戻るため、風力は一つの有力な手段になる。風力関連事業はさらに伸びる方向にある」と力を込める。同社は風力発電機向け大型軸受の生産体制拡充に乗り出した。中国遼寧省瀋陽市の生産拠点に3番目の新工場を建設し、設備の導入を始めた。新工場では今後3年間で30億―50億円を投資し、風力発電機向け軸受の生産を拡大する。

同社の軸受は、ブレード(羽根)の後ろ側に位置するナセル内部で風車の回転力を動力に変換する増速機(ギアボックス)部分に使われる。ギアボックス内の軸受外径は一般的には200ミリ―1000ミリメートルだが日本精工では400ミリ―1000ミリメートルの比較的大型の軸受を製造する。

NTNも風力発電向け軸受を手がけ、販売シェアは欧州メーカーに次ぐ3位。中国を中心に風力発電向けの販売は好調で、約10年で売上高は3倍程度に増えた。洋上風力発電事業の計画が進む国内での需要増にも期待を寄せる。特に洋上風力発電に対しては「国内調達率を60%とする目標を実現してもらいたい」(大久保博司社長)と強い期待を示す。

安川電機は14年にフィンランドの風力発電機向け部品メーカー「スイッチ・エンジニアリング」を買収。欧州で洋上風力発電機などを手がける。小笠原浩社長は同事業が即座に業績の引き上げにつながるとは見ていないものの「環境系の事業は動いている。これからグローバルで加速する」との認識を示す。

炭素繊維の需要も伸びている。発電効率を高めるため、風力発電のブレードは長尺化が進み、軽量で剛性が高い炭素繊維の採用が増えている。東レはブレード用途のラージトウ炭素繊維で世界6割のシェアを持つ米企業を傘下に持ち、19年から22年までに同用途の需要は年率13%伸びると予測。メキシコ、ハンガリーの生産能力を増強し、風力発電装置メーカーと共同開発を進めるなどニーズの取り込みを進めている。

JFEスチールは洋上風力発電装置の下部構造向けに、内部品質に優れた厚物の高強度鋼板を供給。さらに西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)の新連続鋳造設備を活用すれば、世界最大級の重量面積の鋼板の製造が可能だ。洋上風力分野では下部構造が風車のサイズとともに大型化しており、極厚・大寸法の高強度鋼へのニーズが、さらに高まる。