事務機器5社の業績が回復基調にある。2020年4―12月期(キヤノンは20年12月期)連結決算は全社が減収、2社が営業赤字だったが、コロナ禍で落ち込んだ複合機販売やオフィス印刷量が緩やかに復調している。ただ、テレワークの定着などで、感染収束後もオフィス印刷量の完全回復は見込めない。来年度以降も厳しい事業環境が続く見通しだ。

富士フイルムホールディングス(HD)が9日に発表したドキュメントソリューション部門の20年4―12月期連結決算は、営業利益が前年同期比42・6%減の462億円だった。オフィス稼働低下で印刷量が減少した一方、複合機の販売台数は増加した。

リコーは、コロナ禍で苦戦する商用印刷の開発関連資産の減損損失104億円を計上したことが響いたが、国内を中心に主力のオフィス印刷事業が回復。同事業の20年10―12月期の営業利益は同7―9月期比107億円増の124億円だった。

キヤノンは、オフィス事業の20年12月期営業利益が同10月予想比85億円上振れた。コニカミノルタも、複合機やITサービスなどの「デジタルワークプレイス事業」の20年10―12月期営業利益が同7―9月期比28億円増の31億円に伸長した。

ただ、21年3月期に向けては「1月以降の各地域でのロックダウン(都市封鎖)などによる影響が不透明」(リコーの松石秀隆専務)でリスクが残る。22年3月期以降も、オフィス印刷量は「リモートワークの定着などによりコロナ前の水準までは戻らない」(キヤノンの田中稔三副社長最高財務責任者〈CFO〉)との見方が大勢だ。今後は、オフィス印刷以外の事業をいかに伸ばせるかが問われる。

一方、セイコーエプソンはオフィス印刷事業への依存度が低く、稼ぎ頭のプリンター事業で在宅特需が続く。21年3月期の当期利益を20年10月予想比100億円増の180億円(前期比2・3倍)に上方修正した。