BPOは高水準続く

チューブやブローボトルなどの生活・産業事業やデジタル領域の拡大に努める中で、新型コロナウイルス感染拡大の打撃を受けた共同印刷。事業の多くが苦戦を強いられる中、回復と成長の手がかりをどのようにつかむのか。藤森康彰社長に聞いた。

―2020年度の状況を教えてください。

「工場の新棟建設や省人化などの設備投資を予定通り終えた状態で新型コロナウイルス感染拡大を迎えた。体制は整ったのに売上高が押し下げられる状況だ。マイナス影響が大きいのは出版印刷や商業印刷、試験の業務委託(BPO)やICカードなど。パッケージも基礎化粧品向けや業務用の包材が影響を受けている」

―20年度までの中期経営計画を取り下げました。今後の予定は。

「21年度は我慢し、アフターコロナの市場を慎重に見極める1年になる。新たな中計を公表する際は、21年度のみの方針と、その後3年間の計画を示す」

―どの領域の成長に期待がかかりますか。

「デジタル教材は感染収束後も広がるので一生懸命取り組む。デジタルサイネージ(電子看板)など販促活動の今後を見据えた事業も規模は小さいが、すでに一定の成果を挙げている。BPO全般も人手不足を背景に恐らく需要が減らない。川島ソリューションセンター(埼玉県川島町)は高レベルの案件を受注できる高い競争力を持っている」

―今後の課題は。

「大きな柱だった乗車券はおそらく今後爆発的には増えない。人の流動性を注視しながら、新たなアプローチを早めに考えなければならない。生活・産業資材はまだ十分に育ってはいないが、これまでの投資は間違っていない。日常生活が戻れば高付加価値なラミネートチューブの需要は現れる。生活様式の変化や環境意識の高まりなど、アフターコロナに合わせた包材の提案が欠かせない。ブローボトルは次世代型や環境配慮の開発を進める」

―社会が急速に変わる中で今後の印刷業界のあるべき姿とは。

「量が減るとしても従来型の印刷業は求められる。印刷業の本質は情報加工産業で、個人への情報最適化やリアルとデジタルのコンテンツの橋渡しが得意。他の産業にはない役割だろう」

【記者の目/コロナ禍でも新規事業は拡大】

コロナ禍は厳しい打撃となったが、急速な社会変化が成長領域や新規事業の拡大を促す。19年に買収したブローボトルは内食・中食の増加で堅調に推移しており、新たな生活様式やトレンドに合わせた進化が欠かせない。受注ビジネスでは提案力の強化が課題。より川上で提案できる仕組みが求められる。(国広伽奈子)