2030年までに二酸化炭素排出量のピークアウトを目標に掲げる中国は、電気自動車(EV)などに使う資源の調達で攻勢をかけている。特に、鉱石に放射性物質を含むレアアースや、電池向けに高品位品が必要なニッケルは生産のハードルが高く、他国に先行して供給網を固める動きが顕著だ。一方、日米欧の政府は原材料の確保策を打ち出し、脱炭素化をめぐる攻防が先鋭化している。

モーター用磁石に使うレアアースについて中国は、国内の環境対応コストが低いことを背景に生産量で世界トップに立ち、近年はミャンマーからの調達も増やしている。1月にはレアアースの輸出入業者などを対象とした管理規制案を公表し、資源の囲い込みを強めようとしている。

対する主要国は中国依存の脱却を狙う。鉱石シェアで16%を占める米国はレアアースの生産体制を整備する。従来は、鉱石を中国に輸出して分離処理していたが、豪レアアース大手ライナスを誘致し、1日には米政府が工場建設に3040万ドルを拠出すると発表した。

レアアース輸入の約6割を中国に頼る日本では中国の輸出規制への警戒が高まっており、代替調達先は「豪ライナスが進出しているマレーシア」(国内商社)と鉱石処理技術を持つ事業者も限られる。

経済産業省は20年に、石油天然ガス・金属鉱物資源機構によるレアアース製錬事業などへの投資を可能にする法改正を行い、米豪との連携強化を急ぐ。

ニッケルでも中国が存在感を発揮している。20年から鉱石輸出を全面禁止にした最大産地インドネシアで、中国企業の製錬所プロジェクトが相次ぐ。現地報道によれば、インドネシア国営企業と中国電池メーカー寧徳時代新能源科技(CATL)との間で電池工場の建設計画があり、川下まで一貫生産を狙う。

一方、住友金属鉱山はインドネシアで電池材向けニッケル原料の生産を計画。同社ではフィリピンに続く原料供給拠点となるが「20年代後半の稼働を目指してパートナー企業と作業を継続中」(安川修一常務執行役員)と長期戦の様相だ。

欧州では、欧州委員会が20年に欧州原材料連合(ERMA)を発足し、レアアースなど重要物資の供給体制を強化する。今後の経済力を左右する脱炭素化対応で総力戦が始まっており、調達先の多様化や代替材シフト、リサイクルも含めた戦略構築が求められている。(田中明夫)