海洋研究開発機構は地球全体の海洋変動をリアルタイムで捉える国際プロジェクト「アルゴ計画」に参加し、気候変動の仕組みや予測の精度向上の実現に貢献してきた。海の水温や塩分、圧力を10日間ごとに自動で計測するロボット「アルゴフロート」を水深約2000メートルに沈め、深層をモニタリングしている。測定データから海面の熱量や水位、海水の低塩化などの海洋の変動を把握することが期待される。

海の温度は約0・01度C上昇すると大気全体の温度が約10度C上がる。海の水温変化をモニタリングすることは、地球温暖化などの気候変動の現状把握につながる。従来は、船舶や人工衛星などの観測システムでの測定が行われてきた。だが海洋から地球の気候変動の仕組みを理解し予測するには、海洋の表層から深層までの測定データが必要となる。

アルゴ計画は2000年から始まり、20年以上活動してきた。全世界の海に3000台以上のアルゴフロートが稼働しており、そのうち日本は200台以上を所持している。

アルゴ計画でアルゴフロートを海に投下する時に使う海洋地球研究船「みらい」(海洋機構提供)

海洋機構では、気候変動に関わる南極などの海域を中心に測定している。南極付近は低温で高塩分の「海洋深層水」が作られ全世界の海に広がるため、海の源といえる場所であり科学的価値が高い。

同機構は鶴見精機(横浜市鶴見区)と共同で、海面が氷に覆われる冬の南極でも水深4000メートルで温度と塩分濃度を測定できるアルゴフロートを開発し、通年での測定を可能にした。これを使い数年間測定を行った結果、南極付近では海水中の塩濃度が毎年少しずつ薄くなっていることが分かった。同機構の細田滋毅主任研究員は「この結果が地球温暖化の影響ならば、南極の氷が溶けたか降水量が増えたことが要因である可能性が考えられる」と考察した。

アルゴ計画で海の深層の測定網が整備されると、海中の変化が把握できるようになる。10年単位の気候変動予測の精度を向上できると期待される。