富士通研究所(川崎市中原区)は、工場などの作業現場で撮影した映像データから、個々の作業を分割して検出する人工知能(AI)技術を開発した。従来は手作業で行っていた映像の分割業務を自動化できる。作業映像をチェックして現場の問題点を洗い出し、生産性や品質の向上を図るカイゼン活動を効率的に行えるようになる。製造業のほか、物流や農業、医療などの現場で実証し、富士通のAI技術「ジンライ」として2021年度内にも実用化する。

少子高齢化や人材の流動化が進む中、現場では作業を記録・分析し、マニュアルの作成や現場指導などに生かすニーズが高まっている。現在は作業員の様子を撮影し、その映像から「部品を取る」「ネジを締める」「カバーを取り付ける」などの個々の作業を人が確認して映像を切り出しているが、約20分の映像データでもその業務に1時間以上かかるなど負担が大きい。

富士通研は、あらかじめ撮影して人が分析した1作業分の「教師データ」を基に、別の映像から同じ作業を検出する技術を開発した。人の骨格情報を3次元で認識して上半身の姿勢などの特徴をとらえ、その姿勢の変化量から数十の細かい動作グループに分けて同一の作業を特定する。

映像から個々の作業内容を分割し検出できる(富士通研提供)

従来研究では多くの教師データが必要だったが、1作業当たり一つの教師データで検出が可能。作業位置やカメラの位置などによらず、動作の多少のバラつきにも対応する。富士通グループのIT関連生産拠点に導入し、90%以上の精度で映像から複数の作業を検出できることを確認した。一部分割が不正確な箇所は人が修正する必要があるが、数分で完了するという。