鉄鋼・非鉄の原料や製品が高騰する背景には、コロナ禍からいち早く経済活動を再開した中国の存在がある。日本鉄鋼連盟の橋本英二会長(日本製鉄社長)は、鋼材価格を形成する基礎となる原料について「鉄鉱石や石炭、鉄スクラップとも中国の需要次第」とし、2021年の鋼材市況は高止まりを見通す。

鋼材の代表格、熱延鋼板(1・6ミリメートル厚)の市中価格は08年のリーマン・ショック以来、約12年ぶりの高値を付けた。国内の鋼材一般は自動車や土木向けなどが持ち直している。総じて在庫水準は低く、一部ではタイト感もある。輸出も中国・アジア向け中心に堅調だ。

中国は大型インフラ整備などの経済対策の下、20年の粗鋼生産は10億トンを超え、過去最高を塗り替えた。世界経済が徐々に持ち直しつつある中、“中国一強”の様相がさらに色濃くなる。原料高や海外市況などを見れば製品への価格転嫁は進む公算が高く大手各社は「ひも付きを含めマージンの回復に努める」(宮本勝弘日本製鉄副社長)と意欲を示す。

大手各社は20年秋以降、厚板製品や薄板3品(熱延鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板)などの値上げを断行した。値上げは鋼板、建材などの子会社にも広がり、懸案だった塗装など加工費用の改定につながる動きもある。

中国で需要が根強い鉄スクラップの価格も上昇傾向にある。関東鉄源協同組合(東京都品川区)の1月契約の輸出入札平均価格はトン4万4751円と、約12年ぶりに4万円を超えた。ただ、関係者からは「反動安にならないか」との声が聞かれ、警戒感も出ている。

非鉄金属価格も、中国の景気回復による需要の復調で上昇している。三菱マテリアルや住友金属鉱山、三井金属など大手は2021年3月期の業績予想を上方修正。価格上昇による増収や鉱山からの受取配当金の増加などが見込めるためだ。

ロンドン金属取引所(LME)の銅価格は12年以来の高値、ニッケル価格は14年9月以来の高値を付けた。金、銀が高位安定し、プラチナなどPGM(白金族金属)や亜鉛などベースメタルも上昇傾向。新型コロナウイルスワクチンの普及への期待感が高く、エコカーや第5世代通信(5G)関連向け電子材料に好調さがみられる。

素材業界は回復基調にあるが、コロナ以前の水準に容易に戻るかは不透明だ。鉄連の橋本会長は中国を念頭に「業界を取り巻く構造が変わろうとしており、もう一段、感度を上げて見ていく必要がある」と指摘する。