日産自動車は独自のハイブリッド車(HV)技術「eパワー」向け発電専用ガソリンエンジンで、世界最高水準の熱効率50%を実現する技術を開発した。近く投入予定の現行のeパワー搭載HVと比べ燃費を25%改善できる見込みという。同社は2030年代の早期に主要市場で発売する新型車をすべて電動車にする方針を掲げる。エンジンの熱効率向上は電気自動車(EV)開発と共に重要な技術と位置付け、開発を加速する。(西沢亮)

eパワーはエンジンを発電のみに使い、モーターで駆動する仕組み。発電に特化できる特徴を生かしてエンジンを新たに設計。燃焼室の設計を見直すなどし、少ない燃料で効率的に燃焼できる技術を開発した。併せて電池の進化などで、熱効率や出力が最も高い状態でエンジンを一定運転する技術も確立し、熱効率50%を実現する。

エンジンのみで動くガソリン車は状況に応じて出力を変えるなど制約も多く、熱効率の向上に限界があった。ガソリン車の平均的な最高熱効率は30%台で、最新のエンジンで40%程度。近く投入予定のeパワー搭載HVの熱効率は約40%で、50%になれば燃費を25%改善できるという。

日産は23年度までに世界でHVやEVなどの電動車を年100万台以上販売する目標を掲げる。平井俊弘日産専務執行役員は熱効率50%のeパワーの実用化時期について「商品計画は話せない」とする。ただ近く投入予定のeパワー搭載HVには「既に新技術の考え方が採用されている」と指摘する。同社は22年に欧州で「キャシュカイ」、中国で「シルフィー」などのeパワーHVの投入を計画する。また25年をめどに新たなeパワーでコストをガソリン車並に引き下げる技術の確立も推進。セグメントや地域を広げて電動車の販売を強化する。

自動車各社は車の生産から廃棄まで、全行程の二酸化炭素(CO2)排出量を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)での脱炭素に力を入れる。日産は火力発電が主力の日本の電力事情では熱効率50%の技術を搭載したeパワーHVはLCAでCO2排出量がEVと同等と試算する。

再生可能エネルギーの普及でEVのLCAでのCO2排出は削減される。ただ再エネ化の途上でeパワーの進化が脱炭素に果たす役割は大きく、平井専務はEVと共に「電動化の重要な柱として技術開発を続ける」と強調する。

また鶴島理史日産主管は車の電動化に向け内燃機関の開発が疑問視される中、熱効率50%のエンジン技術の開発には「弊社エンジニアのたゆまぬ努力と挑戦があった」と話す。