愛知県豊田市の自動車関連企業が新分野への展開を積極化する姿勢を見せている。豊田商工会議所と豊田市がこのほど開催した展示会では変革をテーマに、各社は電動化や自動運転を見すえた製品などをアピールした。トヨタ自動車の“お膝元”として自動車関連企業が集積する豊田市。車業界の100年に一度と言われる変革期への対応の重要性が増している。(名古屋・山岸渉)

「豊田市の企業は車産業の中で一定程度やっていけるが、変革期の中で変わらないといけない」。豊田商工会議所の三宅英臣会頭は豊田市の産業界が置かれている状況についてこう力説する。豊田商工会議所と豊田市は11、12日に市内のモノづくり企業などが製品や技術をPRする「とよたビジネスフェア」を同市内で開いた。テーマは「変革を勝機に!」だ。

自動車業界でカーボンニュートラルや電動化、自動運転といった新潮流が加速する中、豊田市の企業も新たな事業展開に向けた動きが活発になっている。自動車用軸受国内大手の大豊工業はトヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の新型車に採用されたアルミダイカスト製品などを出展した。大豊工業の杉原功一社長は「当社が内燃機関だけではなく電動化対応している点を紹介できる。グループ会社も出展しておりアピールの良い機会だ」と新たなチャンスをうかがう。

新製品の展示も相次いだ。自動車関連設備メーカーの新明工業(豊田市)は、名古屋大学と自動運転ソフトウエアを共同開発するなど自動運転技術に力を入れており、自動走行型サービスロボット「Talbot」を開発した。同ロボットはタブレットに目的地を入力すると、クラウドサーバーから地図情報をダウンロードして自律走行する。例えば、駐車場から目的地まで荷物を載せて運ぶなどの利用法を想定する。

新型コロナウイルスの抑制に効果があるとされる深紫外線を照射するランプと空気清浄機を搭載したタイプなども用意する。担当者は「より小型化や価格面、使いやすい仕組みなどの課題を改善したい」と実用化を目指す。

一方、小島プレス工業(同)はトヨタと共同で開発した車室内にスマートフォンやタブレットを固定し、安全で快適に利用できる「マルチディスプレイホルダー」で品ぞろえを強化。近距離無線通信「ブルートゥース」に対応した仕様や、トヨタの小型電気自動車(EV)「シーポッド」向けの商品を2月に発売した。小島プレスは自動車内装部品などを得意とし、技術を生かした同ホルダーでBツーC(対消費者)向けの新たな事業展開を狙う。

さまざまな形から豊田市のモノづくり企業が変化の激しい事業環境に対応する姿勢が見えつつある。トヨタはカーボンニュートラルやデジタル化に注力する考えを示す。

会場を訪れたトヨタの河合満エグゼクティブフェローは「環境対応は皆取り組んでいる。軽量化といった、部材をどれだけ減らすかなどを考えていくのも大事」と豊田市のモノづくり企業に期待を寄せる。