いち早く必修化

総合大学のデータサイエンス(DS)全学必修化へいち早く、2019年度に始めたのは北海道大学だ。武器は北大の数理・データサイエンス教育研究(MDS)センターが独自開発した、情報通信技術(ICT)基盤「MDSプラットフォーム」だ。地域ブロックの他大学でも利用が進むほか、産学官連携のモデル確立など先端的な活動を展開している。

学部1年生の全約2600人の必修科目「情報学I」のように、多人数が学ぶ科目ではeラーニング教材での独習が欠かせない。ここで独自開発の学習管理システム(LMS)であるMDSプラットフォームが威力を発揮する。長谷山美紀センター長は「放送大学と共同で動画教材を開発し、留学生向けに英語キャプションも付けた」と強調する。さらに履修データ分析ツールで、個々の学生の学びを支援する。

利用ニーズ急増

情報学IにはDSで多用するプログラミング言語「Python」(パイソン)の演習もある。プログラムを記述し、実行結果を確認することで、プログラミングの効果的な学びができる。最大200人が同時受講できる端末室も、当初は話題になった。新型コロナウイルス感染症で20年度はすべてオンラインになったが、阿部真育特任准教授は「対面とオンラインとの習熟度比較が可能になり、ポストコロナ社会におけるDS教育の検討が進む」としている。

MDSプラットフォームは北海道の各大学での遠隔教育を想定して開発し、10数の大学と連携している。eラーニング教材なら大学間の距離を乗り越えられる。まず北見工業大学が利用し、北見工大と統合予定の小樽商科大学や帯広畜産大学へ展開する計画も進む。新型コロナで対面授業が難しくなり、他地域大学からの利用ニーズも急増しているという。

新たな相乗効果

産学・地域連携も活発だ。東日本高速道路(NEXCO東日本)などとデータ分析でインフラ管理をする人材育成を推進。ニトリホールディングスの寄付講座で、店舗来訪者の画像データから適切な接客サービスにつなげる研究を行う。工学研究科などでなく、MDSセンターのような全学教育施設での寄付講座は日本初だという。DSは研究と教育、社会貢献の新たな相乗効果を引き出しそうだ。