自動運転サービスに対する政府の取り組みに、ようやく道筋が見えてきた。人手不足対策や新たな移動手段としてなど、人、モノ双方の観点から期待は高まっている。アフターコロナの社会を見据えた新たな可能性も膨らむ。その一方、いち早く普及が進む海外と比べると、日本での立ち上がりは依然として遅れている。

曹洞宗の大本山を構える福井県永平寺町で25日、走行環境条件付きで自動運転する「レベル3」サービスが国内で初めて始まった。町内の飲食店に設けたモニターから遠隔で監視し、運転手がいない3台の電動カートが公道を走る。鉄道の廃線跡を活用したサービスは、料金を徴収しながら観光客や地域住民の足として展開する。

経済産業省や国土交通省は「スマートモビリティチャレンジ」として、全国各地でサービス実現に向けて実証してきた。技術サイドの精度向上だけでなく地域の交通課題に応じたビジネスモデルをいかに築くかを目的に進め、今回ようやく営業サービスとして動き始めた。政府は2025年度までに全国40地域以上への拡大を目指す。

自動運転サービスはモノを運ぶ手段としても現実味を帯びようとしている。経産省や国交省は自動配送ロボットの実用化に向けた実証を進めている。技術面の検証からはじまった動きは、「サービス化を意識した検証に移ってきた」(経産省担当者)。政府は20年12月に示した成長戦略会議の実行計画は遠隔で多数台による低速・小型の自動走行ロボットのサービスが可能となるように、21年度のできるだけ早期に関連法案を提出する意向を示している。

海外で実用化加速

人、モノの双方で自動運転サービス実現へ向けた整備が進む一方で、コロナ禍が普及への障害となっている。自動配送ロボットによる非接触ニーズはコロナ禍を機に急速に高まったが、緊急事態宣言や各地の経済活動制限に伴って実証が思うように進められない。そのため「実証データがなかなか取れない悩ましさがある」(同)。

実証データは、法律やガイドラインなどルール整備や規制緩和に欠かせない。最終的には自動運転サービスに関わる省庁の調整や道路交通法、道路運送車両法など現行法の改正などの足かせにつながる。永平寺町の自動運転サービス開始もコロナ禍の影響で当初の想定より遅れた。

海外では自動運転サービスが実用化に向け急速に動きだした。自走配送ロボットは米国や中国などで法整備による実用化への動きが駆け足で進む。国内でも地方を中心に新たな移動手段の確保は喫緊の課題。安全性を確保しながら、社会実装のスピード感をどこまで高められるのか、あらためて問われている。