新型コロナウイルス感染防止に向け、介護ロボットが脚光を浴びている。これまでは介護施設の省人化や職員の負担軽減の要素が強かったが、ヘルパーが高齢者に触れずに介助できるため感染リスクを減らせる点も注目されてきた。感染者の発生は施設の経営にとって命取りとなる。感染が怖いのは、高齢者もヘルパーも同じ。ロボットメーカーも新たな視点や長所に注目し、施設や高齢者住宅などに拡販を急ぐ。(編集委員・嶋田歩)

移乗サポートロボット「Hug(ハグ)」を手がけるFUJIは、月数十台ペースだった販売が100台ペースに増えた。ハグはベッドで起きた高齢者が立ち上がり、食事やトイレに行くのを補助するロボット。前方のレバーにつかまって立ち上がるため安全ベルトなどが不要で、職員の介助も短時間でできる。転倒防止のため、従来は職員2人がかりで抱き起こし、ベルト装着に数分を要していた。ハグならば1人の職員が見ているだけで済み、介助操作もリモコンで簡単にできる。

アイザック(福島県会津若松市)が開発した移乗・移動ロボット「ケイプ」も職員の負担を減らせる商品だ。販売を担当するエフ・アイ・ティー・パシフィック(東京都台東区)担当者は「車いすと違って、後ろから乗り込めるため、移乗時の介助者の負担を軽減できる」と話す。車いすだと前方から乗り込むため、介助職員はベッドのそばに立ち、高齢者が体の向きを変えるため右手を持ったり、腰に手を当てて抱き起こすなどの動作が必要だ。ケイプだとその手間を軽減できる。

サンワ(埼玉県狭山市)は、車いすでそのまま乗れる非常用階段避難車「チェアキャリダン」が注目された。大雨や洪水で高齢者施設が孤立し、エレベーターも使えないといった状況を想定。限られた人数の職員で大勢の高齢者を上層階へ避難させる作業はおのずから限界がある。チェアキャリダンはそうした緊急避難ニーズに対応でき、施設からの問い合わせ件数が増えている。

高齢者のトイレや階段の上り下り、入浴などの介助では安全のため、職員は高齢者と長時間、体を密着して動作を支援せざるを得ない。新型コロナ感染防止で「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」が叫ばれ、家族との面会がガラス越しになっても現場の実情は変わらない。

身体接触は職員や高齢者の感染リスクを増やすのはもちろん、1人の感染が施設全体に広がる「クラスター」の危険性も招く。営業停止処分になれば、その後の復活は困難だ。ロボットは高齢者と施設、双方の救世主になる可能性がある。


ロボットメーカーも一目置く、異能の技術者集団の正体