鉄鋼関連企業は脱炭素の動きが強まる中、電気自動車(EV)向け二次電池や燃料電池の市場を開拓する。阪和興業は電池の社内横断チームを立ち上げ、川上から再生までの情報収集を体系的に進める。新日本電工は2021年度からの新中期経営計画で電池用材料を成長分野に盛り込む方針。両社ともすでに実績がある領域ながら、電池のサプライチェーン(供給網)強化を目的とした協議会への参加などを通じて、ビジネスチャンスを果敢にうかがう。(取材=編集委員・山中久仁昭)

事業機会

阪和興業が1日始動した「電池チーム」は、プライマリーメタル部門などの約10人で構成する。二次電池などのライフサイクルにかかわる原料、製品、サービスを統括し、事業機会をつくるのが使命だ。

鋼材販売がメーンの同社は10年以上前から、硫酸ニッケルなど二次電池正極材の原料を販売してきた。ここにきて川上の資源ビジネスを強化している。

インドネシアでニッケルやコバルトの化合物、メキシコでリチウム化合物、南アフリカでは白金族金属のプロジェクトに参画。古川弘成社長は「鋼材需要減を見据えた、当社流のマイナー出資によるニッチ(すき間)市場開拓」と強調する。

ウイング広い

新日本電工はEV向け材料事業を強化している。同社は鉄鋼の副原料であるマンガン系合金鉄で知られる。日本製鉄時代に原料の調達畑を歩き、1月に就任した青木泰社長は「既存ビジネスの充実・強化と新規ビジネス育成の両立を目指す」と語る。

住友金属鉱山からEV、ハイブリッド車(HV)向けのリチウムイオン電池正極材の生産を受託している。一方で、ニッケル水素電池の負極材となる水素吸蔵合金なども手がけるなどウイングが広い。

連携へ協議会

電池分野への期待が高まる中、1日には「電池サプライチェーン協議会」が発足。阪和興業や新日本電工なども参加する。経済産業省などと連携しながら原材料や部品などの約50社が政策提言や標準化議論を行う。サプライチェーン一体での国際競争力強化に向け、鉄鋼関連企業の存在感が高まるかどうかが注目される。