「働きやすい、やりがいのある会社であれば、生産性の高い創造性豊かな仕事が実現でき、顧客や社会への貢献、社員のやりがいにつながる」―。この理念で好循環を創出すべく、SCSKでは働き方改革や多様な人材活躍を推進している。(狐塚真子)

24時間365日稼働するシステムの保守・運用などを行うIT業界では、その仕事の特性上、長時間労働を避けられないのが長年の課題だった。SCSKは2012年4―6月に、全社約300の部署のうち、特に残業時間が多かった32の部署に対し、「残業半減運動」を展開。その結果、13部署で5割、3部署で4割、それぞれ削減に成功した。

多くの部が取り組んだのは業務の見直しやノー残業デーの推進、業務の優先順位付けなど。山口功労務部長は、「当たり前のことを徹底すれば一定の成果が得られると感じた」と振り返る。ただ、繁忙期である期末になると状況は逆戻りする。長時間かけて、文化・風土から改革する必要性も痛感したという。

そこで13年4月に20時間までの月間残業時間の削減と、20日間の年次有給休暇取得を目標に「スマートワークチャレンジ20」を開始。その一方で改革を進めるにあたり、社内から「残業代が減ることや、システム運用のために社員が常駐する企業、業績にも影響が出ると懸念する声が上がった」(山口部長)。

このため、有給・残業目標を達成した組織には新たに特別ボーナスを支給したほか、常駐先の顧客の理解を得るため、社長自らが手紙を執筆し、各役員が顧客に持参して協力を仰いだ。その結果、14年度以降の月間残業時間は20時間以下、年次有給休暇取得日数も18日を超えるまで変化した。山口部長は「強いメッセージを発信し続けた社長の旗振りや、管理者・組織のメンバー全員が一体となって取り組んだこと」が成功の要因と総括する。

有給休暇取得に関して顧客企業の理解を得るために手紙を渡している

健康経営の取り組みにも注力する。15年からは就業規則に「健康経営」の章を新設。健康診断結果の良化に向けて「健康わくわくマイレージ」も始めた。睡眠、アルコールの摂取量など、健康の目安となる行動習慣や、健康診断結果をポイントとして計測し、基準値を達成した組織や個人にインセンティブを支給する。ウオーキングや歯科検診実施率が増えるなど、行動習慣も変化してきた。

女性活躍やシニア層の活躍も促してきたSCSK。中でも特徴的なのは、育児休業からの職場復帰支援プログラムの実践だ。同社では子どもの保育費を復職金支援として支給するほか、両親の助けを求める社員に対しては引っ越し代金を会社で負担するなどの対策を取る。早期復職や総労働時間の削減なども通じて、女性が活躍できる風土を醸成する。

和南城由修人事部長は、「現在は『女性』などある属性に対して各制度を設けている。今後は、個の活躍を促すような体制を整えることで、企業成長を目指したい」と説明する。21年度はさらなる制度の拡充や柔軟な体制づくりを推進する方針だ。