損害保険ジャパンは2016年10月に「健康宣言」を打ち出し、健康経営を推進している。グループの経営理念である顧客の安心・安全・健康に資する最高品質のサービス提供を目指す中、これらを実現する原動力こそ社員とその家族の健康にあると定義。健康経営は社員の働きがいと顧客満足度の向上を実現し、選ばれ続けるための土台に位置付ける。

「少なくてもデータで確認できる部分は良くなっている」―。鷲見隆充執行役員人事部長はこう語る。例えば全社員の喫煙率は17年の17・5%から19年は15・8%に減少。産業保健スタッフによる3カ月の禁煙サポートといった取り組み成果が出始めており、目標値の12%が射程圏内だ。

社員のメンタル面のフォローについては20年度から「SJ版1on1(ワンオンワン)」を本格展開。約1400人の部店長やリーダー層を対象に基礎研修のほか、質の向上を狙った5カ月におよぶ導入プログラムを実施している。

手厚いフォローによって部下の本音を引き出せる話術など“意味ある”1on1を可能とした。コロナ禍による在宅勤務の普及でオフィスで直接顔を合わせる機会は減りつつある。だからこそオンラインでも内面の変化を見逃さない技術を身に付けようとしている。

鷲見執行役員は「何か課題が浮上してから対応するスタンスを脱却したい」とし、平時の社員教育にも注力。その舞台が20年10月設立のオンラインの企業内大学「損保ジャパン大学」だ。数値に異常がなければ放置しがちな健康診断結果の見方や生活習慣病の基礎知識を産業医らが講義。社員自ら健康増進や維持を心がけるような仕組みづくりに動く。

同大で公開中の健康関連の取り組みは視聴者数も多く、意識改革の兆しがうかがえる。健康経営に加え業務の見直しや累計45万時間超の創出実績があるRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の活用などで「生産性の底上げ」を図る。(増重直樹)