トヨタ自動車が、電気自動車(EV)を本格展開する。キーワードの一つが「仲間づくり」だ。他社と連携する背景には、部品共通化によるリスク分散という狙いがある。各国政府の補助金に依存するEV販売の先行きは不透明。想定通り普及が進まなければ、初期投資の重い電池などが利益確保の障害になりかねない。トヨタは2025年までに20年末時点の6車種から15車種までEVを増やす。欧米中メーカーとの競争が激化する中、連携戦略が焦点となる。(名古屋・政年佐貴恵)

「EVに対する社会受容性とメーカーの技術開発との接点が、ある特定の地域とユーザーにおいては高まりつつある」。トヨタの前田昌彦執行役員は、EV戦略を打ち出した背景をこう説明する。トヨタはSUBARUと共同開発したEV専用プラットフォーム(車台)「e―TNGA」をベースとした新EVブランド「トヨタbZ」を立ち上げる。bZでは22年半ばまでに投入する中型スポーツ多目的車(SUV)「bZ4X」を皮切りに、25年までに7車種を投入する計画だ。

車両ではダイハツ工業やスズキと小型車を共同開発するほか、中国・比亜迪(BYD)とも提携する。他社連携の意義は車両ラインアップ拡充だけでなく、車台や部品の共通化によるリスク分散という点にもある。

bZは中国や欧州、米国など、EV需要が高く再生可能エネルギーが普及する地域を主戦場と位置付ける。ここからは、トヨタがEVはまだ普及段階には達していないと判断していることがうかがえる。航続距離や充電インフラ、各国のエネルギー政策、価格など、ガソリンエンジン車やHVに置き換わるほどの普及にはハードルがあるとの見立てだ。前田執行役員は「現状は規制のために売るという傾向が強いが、市場ニーズと合っていて、本当にその計画台数が出るのか」と疑問を呈する。

EVの構成部品の中で課題は電池だ。生産の初期投資は数百億円と大きく「インパクトが大きい」(前田執行役員)。EVビジネスは一定の販売数量と原価低減がなければ利益は出ず、米テスラも通期黒字化までに18年がかかった。「投資額が大きいものに対して量の変化をどう吸収するかは難しさがあり、1社だけではやれない」(同)。複数社との連携はその一つの解だ。

野村証券の桾本将隆リサーチアナリストが25年のトヨタのEV販売を80万―100万台と予測するように期待は高まる。トヨタのEVビジネスに注目が集まる。