東京海上日動火災保険は保険金支払い部門の基幹システムで人工知能(AI)活用を加速する。3月に事故対応の進捗(しんちょく)を記録する損害サービス業務で音声マイニングのAIを試験導入した。精度を高めながら年内をめどに全店に展開する。年間80万時間を要する記録業務の半減が期待でき、創出した時間を人にしかできない高付加価値な業務に振り分ける。

記録業務の効率化と電話対応の品質向上などを目的に、進捗入力候補のレコメンドシステムを構築した。音声マイニング技術を活用し、単語などから通話内容を分析。同社では責任割合の交渉や修理工場への入庫など、社内外との事故対応の記録を数百種類におよぶ定型文の選択肢から手動で選んでいる。AIが対話内容を解析し、確度が高い選択肢を提案する仕組みによって効率化と均質化を図る。

東京海上日動火災保険は、2020年2月に契約者が事故対応の状況をスマートフォンアプリなどで確認できるように変更。そのため、契約者と共有する記録業務も損害サービスの一環として重要性が高まっていた。19年度に約282万件の事故対応実績がある自動車保険から展開する計画。事故対応の進捗をチェックする他の業務でも別のAI活用を検討している。

使用するAIはデータサイエンティストの育成を狙い、19年に創設したプログラムに参加した社員が開発。昨今、損保業界ではシステムを外注せず、リカレント教育などを受けた社内人材が独自開発する事例が出始めているが、基幹システムへの展開は珍しい。きめ細かく社員の使い勝手を良くできたり、外注するよりも改修コストを抑えられたりなどのメリットが期待できる。