携帯通信各社が、通信鉄塔や基地局の外観点検で活用する飛行ロボット(ドローン)の機能を強化している。NTTドコモやKDDIは撮影した映像から人工知能(AI)で金属のサビを自動検出する機能を開発。ソフトバンクは産業用ドローンの開発に着手した。高さ数十メートルの鉄塔の点検作業で培ったドローン技術は鉄塔やプラント設備を持つ他業界の点検作業にも応用展開できる。労働人口の減少も続くだけに各社はさらなる点検作業の効率化を急ぐ。

NTTドコモは全国約5万の通信鉄塔のうち飛行禁止エリアを除いて全面的にドローンでの点検に置き換え、100台超の機体を配備した。人手による点検では不具合箇所のみを撮影していたため品質評価がしづらかったが、「鉄塔全体を記録しデータベース化することで、過去データとの比較が容易になり、品質分析を高度化できた」と新山拓サービス運営部アクセス技術部門担当部長は話す。

ドコモは自社開発した画像認識技術を用い、ドローンで撮影した鉄塔の映像から自動でサビを検知するAI解析も社内で運用している。サビの有無だけでなく、サビの劣化度も画像認識で検知可能。自社の点検業務で培った技術を生かしたドローン運用サービスも外販しており、今後も各業界の協業企業と連携し、同サービスの強化につなげる。

KDDIは2021年度末からボルトの歪みやサビ、傷、変形の検知にAI画像分析を導入する計画。

このほかKDDIが進めているのが、携帯通信回線を用いて遠隔から基地局点検用ドローンを制御する管制システムの開発だ。現在、作業者を現地に派遣し、目視内で事前に設定したルートを自律飛行させている。22年中にも法改正により有人地帯での目視外自律飛行が解禁されるとみられる。複数台のドローンを衝突を避けて安全に運用できれば、オフィスなどから遠隔で点検作業を行える。

ソフトバンクは双葉電子工業と鉄塔点検などに活用できる産業用ドローンを共同開発している。プロトタイプ(試作品)は双葉電子の産業用ドローンをベースに第4世代通信(4GLTE)対応の通信モジュールで遠隔地から飛行制御でき、撮影した画像や映像をリアルタイムに送信できる。ソフトバンクの高精度測位サービス「イチミル」を活用することで誤差数センチメートルの精度で制御可能。空撮した画像の位置情報も高精度化できる。

このドローンは21年度に実証実験を行った後、ソフトバンクのドローン運用サービス「ソラソリューション」に組み込む。機体側でAIによる解析を行うことで全地球測位システム(GPS)など測位信号が届かない環境でも完全自動運行ができるドローンの開発や5Gの実装も目指す。