IT・情報サービス各社は、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」との連携サービスの企画・開発に力を注いでいる。マイナポータルへの利用者登録とログインに必要な「マイナンバーカード」の申請数は全人口の約4割となり、安全で便利な社会や生活を支えるさまざまなサービス提供が今後の焦点となる。(編集委員・斉藤実)

マイナポータルは子育てや介護などの行政手続きの検索やオンライン申請に加え、行政からの案内を受け取ることができる「自分専用サイト」のような役割を担う。マイナポータル連携サービスは、例えば年末調整手続きや所得税確定申告手続きの際に、マイナポータルを利用して控除証明書データを一括取得し、データを生命保険料控除申告書や確定申告書に自動入力することなどが可能。

NECは、マイナポータルと連携したAIチャットボット(人工知能を用いた自動応答ソフト)を2021年度にも製品化する。住民が住民税などの質問を問い合わせると、チャットボットがマイナポータルと連携して所得や世帯情報などの住民の自己情報を参照し、住民の状況に応じてパーソナライズした回答を返答する。

マイナポータルと連携したAIチャットボットは業界初。住民の自己情報(氏名、住所、生年月日、性別の4情報)を参照しない従来型のチャットボットでは自動応答できる問い合わせ範囲が限られていた。

野村総合研究所(NRI)は、マイナンバーカードを利用して住所変更後の自己情報を、関連する複数の金融機関に一括提出する「e―私書箱ワンストッププラットフォームサービス」を早ければ今夏に提供する。

多くの金融機関が利用する官民連携クラウドサービス「e―私書箱」の機能を拡張し、マイナポータルを通じて、個人から金融機関に住所変更後の自己情報を提出する。

提出する情報と提出先の金融機関は利用者本人が選択する。サービスの提出先は「マイナポータル連携サービス」を利用する金融機関など。引っ越しなどで居住地が変わった人は本人が指定する金融機関への一括提出が可能。金融機関にとっては犯収法に則した本人確認をはじめ事務作業負荷の低減とコストの削減につながる。

富士通は、マイナポータルからの子育て関連のオンライン申請内容を自治体の業務システムに取り込むオプションを複数の自治体に納入している。今後はマイナポータルの連携も計画中という。

電通国際情報サービス(ISID)は、大手企業向け人事給与システム「ポジティブ」と、中堅企業向け「スタッフブレイン」の双方で、マイナポータル版用API(応用プログラムインターフェース)を利用した健康保険組合向け電子申請手続きに対応。画面上から申請したり、申請したデータの受け付け状況や申請結果を画面上で確認したりできるようにした。

今後、電子申請の義務化は厚生年金保険や雇用保険、全国健康保険協会など、対象範囲の拡大が見込まれている。このため、順次、機能拡張する予定。