物流施設を手がける企業が“独自色”を競っている。大和ハウス工業は、実証実験で取り組んできた人工知能(AI)を使って食堂の混雑状況を自動検知するシステムを2021年度中に他の施設にも広げ、物流デジタル革命(DX)を推進する。三井不動産は環境に配慮したグリーン倉庫を、東急不動産はセキュリティー対策を売り物にする。電子商取引(EC)の拡大で物流施設は建設ラッシュにあり、競争も激しくなってきた。各社とも独自性を打ち出し、選ばれる施設を目指す。(大城麻木乃)

大和ハウス AIで食堂の混雑検知

大和ハウス工業は千葉県市川市でNTTコミュニケーションズと20年末から実施してきたAI映像分析による食堂の混雑把握のシステムを、食堂が2カ所あるような大規模物流施設に横展開する。「DPL流山IV」(千葉県流山市)、「DPL横浜戸塚」(横浜市戸塚区)、「DPL新横浜II」(横浜市都筑区)などが候補となる。

これまでの実証実験では、AI映像解析で得た食堂の混雑状況を食堂入り口のモニター画面に表示し、入場人数を管理していた。食堂まで来ないと状況が分からず不便だったため、今後はエレベーターホールや各事務所でも状況が分かるよう改良を検討。携帯端末からでも把握できる方向で調整する。

物流施設の現場では作業者の人手不足が慢性的な課題になっている。ITで食堂のスムーズな利用を促し、「入居企業の働き方改革に貢献する」(Dプロジェクト推進室)ことで人手不足の解消を狙う。

三井不 環境配慮グリーン倉庫

三井不動産は建設中の物流施設「ロジスティクスパーク海老名I」(神奈川県海老名市)で、省エネと創エネで消費エネルギーを実質ゼロとするネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を21年度中に取得する予定。太陽光発電設備(年間発電量約220万キロワット時)でラウンジなどの共用部の大半の電力をまかなうほか、入居企業の倉庫部分の使用電力は実質的に再生可能エネルギーとみなす非化石証書を活用して100%グリーン電力を供給できる体制を整える。同施設は22年9月完工予定で、“グリーンエネルギー倉庫”として商標を出願済み。

東急不 セキュリティー認証取得

東急不動産は22年5月完工予定の都市型物流施設「ロジック南砂町」(東京都江東区)でセコムと連携し、建物セキュリティーの客観的な証明となる「竣工前評価証明書」を世界的な認証機関、SGSグループの日本法人から取得した。重要書類や医薬品、貴金属など高付加価値でハイリスク商品の保管が必要な企業ニーズに応えるのが狙いだ。

事前に共用部を含めた建物全体で認証を取得することで、テナント企業が入居後に専有部内で個別認証取得が容易となる効果が見込める。同社によれば、物流デベロッパーで同証明書の取得は日本初という。

他社との差別化を狙ったユニークな物流施設の開発が今後も増えそうだ。