昭和電工は、子会社の昭和電工マテリアルズの鉛蓄電池事業を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京都港区)と東京センチュリーに売却する。12月1日付で売却完了を目指す。売却額は非公表。昭和電工はこのほか複数件の資産売却を決定しており、資産をスリム化し、日立化成(現昭和電工マテリアルズ)の買収で悪化した財務体質を改善する。

自動車のエンジン始動用や産業用などの鉛蓄電池事業を売却する。対象には国内工場や台湾、東南アジアの拠点が含まれる。このうち国内事業の売上高は549億円。なお、昭和電工マテリアルズが51%出資するイタリア子会社は対象外。

鉛蓄電池事業は2015―17年頃、再生可能エネルギー発電拡大に伴う需要増加を追い風に、海外企業買収や工場建設などへ積極投資した。だが、18年の品質検査不正の発覚が業績に影を落としたほか、昭和電工の成長戦略との関係が薄く、売却を決めた。

今回の売却に伴い、昭和電工は21年1―6月期に事業構造改善費用300億円程度を特別損失として計上する。21年12月期の当期損益予想は、5月公表値の110億円の黒字から140億円の赤字に下方修正した。

同社は20年12月に2000億円規模の事業売却方針を打ち出し、飲料缶や電子部品向けアルミニウム事業やプリント配線板事業などの売却を決めている。今回の売却で、売却事業総額は予定水準にほぼ達したとみられる。

今後、半導体材料や自動車部材、ライフサイエンスといった成長分野へ積極投資し、「世界で戦える会社」(森川宏平社長)への成長に注力する。30年には売上高を現在の2倍弱の1兆8000億―1兆9000億円へ引き上げを目指す。