日精産業(東京都青梅市、古屋儒英〈みちえ〉社長)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の手術器具(写真)を医工連携で開発した。重さは一般的なステンレス製の3割に抑えた。保管や持ち運びが容易で長時間使用しても疲れにくい。ディスポーザブル(使い捨て)品とリユース品を製作。使い捨て品は2022年1月頃、リユース品は23年までにそれぞれ製造販売認証の申請を目指す。CFRPの手術器具で製造販売認証を取得すると国内初という。

開発したCFRPの手術器具はピンセット、縫合用の持針器、鉗子(かんし)、はさみの4種類。ステンレス製よりも容易に手術器具への2次元バーコードの印字やICタグの埋め込みができるため履歴管理がしやすくなる。ハイブリッド手術室での磁気共鳴断層撮影装置(MRI)やX線撮影装置による検査にも使用できる。260度C程度の高耐熱性を持ち、一般的な手術器具の高温滅菌に対応する。

強度がステンレス製に比べて若干劣るため、今後同程度まで高める方針。一般病院だけでなく、災害時に現場で使用する備蓄用の手術器具として自衛隊や自治体などの採用を目指す。消費税抜きの価格はセットで2000―4500円程度を想定する。

同社は精密プラスチック成形を手がけてきたが、15年に日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携事業化推進事業に採択され、医療機器の開発を開始。18年まで滋賀医科大学と共同でCFRPの手術器具の試作品を製作した。その後、東京都中小企業振興公社の事業にも採択された。