欧州連合(EU)が2035年までにガソリン車などの内燃機関車の新車販売を事実上禁止する方向で動きだした。禁止対象にはハイブリッド車(HV)も含まれ、HV技術に強みを持つ日系自動車メーカーは電動車戦略の加速が求められる。欧州の自動車業界では特定の技術を禁止することに反発の声もあり、実現には紆余(うよ)曲折も予想される。(西沢亮)

日系メーカーでは、トヨタ自動車が30年に欧州市場で販売する新車をすべて電動車とし、うち40%を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)にする方針を示す。日産自動車も30年代の早期に欧州に投入する新型車をすべて電動車にする計画だ。両社の戦略にはいずれもHVが含まれる。

日系各社は欧州市場での存在は大きくないが、HVを生かした戦略を展開。トヨタは現状、欧州でHVの販売が好調に推移し、今後もシェア拡大を目指す方針を掲げる。日産も22年に欧州で初めて独自技術「eパワー」を搭載したHVの投入を予定する。ただ35年までにHVの販売が禁止となれば、EVの品ぞろえ拡充などを迫られる可能性がある。

欧州の自動車メーカーはEVを中心に電動車戦略を加速。独フォルクスワーゲン(VW)は、30年までに欧州で販売する新車のうちEVの比率を7割、仏ルノーは同9割に高める目標を掲げる。独アウディは26年、スウェーデンのボルボ・カーは30年に新車のすべてをEVに切り替える。

EVの開発や生産への投資も活発化する。VWはEVなどの次世代技術に25年までの5年間で730億ユーロ(約9兆5000億円)の投資を予定。欧州で30年までにEV用の電池工場を6カ所に設ける計画だ。日産は新型EVの開発や生産のため英国に4億2300万ポンド(約640億円)を投入。英国サンダーランド工場で生産し、欧州市場にも輸出する。

欧州自動車工業会(ACEA)は14日、EUの提案を受け、特定の技術を禁止したりするのではなく「技術革新に焦点を当てるようすべてのEU機関に要請する」との声明を発表。35年までに内燃機関を事実上禁止する規制を批判した。

20年のEUの新車販売に占めるEV比率は約5%で、補助金にも支えられ販売を伸ばした。ただEVは台数規模も大きい小型車と比べ価格が高く「小型車ユーザーのEVの買い替えをどのように支援していくのか」(日系自動車メーカー幹部)との声も聞かれる。